◆春季高校野球石川県大会 ▽1回戦 金沢龍谷2−0穴水(21日・金沢市民)

 1回戦5試合が行われた。わずか9人の部員で出場した穴水は、0−2で金沢龍谷に惜敗し、初戦敗退を喫した。190センチのエース右腕、東野魁仁(3年)が135キロのストレートとスライダーを武器に完投。3安打で自責点1に抑えたが、打線は散発4安打で無得点に抑えられた。試合後、花園修兵監督は「震災があってから思うような練習が出来なかったが、1球が勝敗を分けた。悔しさがあるなら、勝てるチームを作ろう。明日から気持ちを切り替えてやりましょう」と選手に語りかけた。

 敗れはしたが、長身エース、東野が会心の投球を見せた。長い手足と大きなフォームから、ゆったりと投げ下ろすストレートは効果抜群。自己最速タイの135キロをマークすれば、切れのあるスライダーも効果的に使い、実力校の金沢龍谷を最少失点に抑えた。東野は「しっかりと指がかかって、ボールが伸びていた。練習試合ではエラーも多かったが、いいプレーがいっぱい出来て良かったです」と前を向いた。

 昨秋の県大会は部員4人のため、連合チームで出場したが、今春は地元の穴水中から入学した1年生5人が入部。ぎりぎりの9人で選手登録して初戦に挑んだ。普段から怪我には細心の注意を払っているが、この日は打者2人が死球を受け、ベンチに下がって治療する場面も。なんとか試合は続行したものの、東野は「怪我をしたら終わり。(死球を受けて)赤くなっていましたが、ヒヤッとしました」と振り返った。

 能登半島地震後は、2月から練習を再開できたが、グラウンドの内野はひび割れが残ったままで、外野で練習している状況が続く。「夏は公式戦で1勝したい。制球力を上げて、140キロは出したいです」と東野。9人の部員が力を合わせ、多くの困難を乗り越える。(中田 康博)