◆JERA セ・リーグ 巨人2−4阪神(5日・東京ドーム)

 巨人が惜敗し、阪神戦では22年4月以来となる3連戦3連勝を逃した。高橋礼投手(28)が5回3失点で移籍後初黒星。攻撃陣は3点を追う5回に小技も絡めて一時1点差に追いすがったが、及ばなかった。接戦続きの内容を阿部慎之助監督(45)は「いい3連戦だった」と評価。昨季惨敗した猛虎相手に、ここまで3カードで2度勝ち越し、4勝4敗1分けの五分。巨人担当・片岡優帆キャップが、その戦いぶりと、今後への課題を「見た」。

 * * *

 負けはしたが、大きなダメージを受けた敗戦には感じない。致命的なミスがあったわけでもない。試合後は何とも言えない感覚に包まれた。阪神に22年4月1〜3日(東京D)以来、2年ぶりの同一カード3連勝は逃したが、2勝1敗で勝ち越したからだろう。阿部監督も「いい3連戦でしたし、最後もワンチャンスで追いつける試合だった。ワンサイドじゃなかったし、いい試合だったので次につながると思う」と前向きだった。

 3回に先発・高橋礼が3失点。そのまま一方的な展開で敗戦なら受け止め方は違ったかもしれないが、打線が食らいついた。0―3の5回の攻撃に光が見えた。

 先頭・梶谷が中前安打で出塁。小林はカウント2―2からランエンドヒットの中前安打で無死一、三塁の好機を作った。8番・門脇が完璧なバントでセーフティースクイズを決め、続く代打・長野も適時二塁打。機動力、チーム打撃を絡める阿部野球で、3月31日の対戦では6回無失点に抑えられている才木から2点を返した。「ちゃんと形を作っていこうと思ったら点が入ったので。これは継続したい」。今年の巨人は違う、変わったと、昨季一度もカード勝ち越しできなかった阪神に印象づけたイニングに見えた。

 直近6カード連続負け越しなしと好調だった首位・阪神に3連戦勝ち越しは御の字の結果だ。だが、欲を言えば、前カードでヤクルトに東京D3連戦3連敗していただけに、一気に3連勝して取り返したいところでもあった。4番・岡本和は初回、4回の得点圏で2打席連続三振。5回2死一、三塁では前日サヨナラ打の3番・吉川が初球を左飛。阿部監督から「人にみえる工夫を」と求められていた吉川は、前の打席よりバットを一握り短く持って臨んだが、点にはつながらなかった。7回2死一塁では代打で安打を放って出塁した一塁走者・増田大がけん制死した。今後に向けて、もう一押し、詰めの部分の精度が上がれば、同一カード3連勝も見えてくると感じる試合だった。

 こどもの日は22年から3連敗。阿部監督が「もう一本出ていればというところだったのでね。いい形はつくれたかなと思います」と振り返ったように、攻撃面の伸びしろは、まだあるということだ。ここまで32試合で82得点、1試合平均2・56得点という中で、投手陣の奮闘もあって15勝14敗3分けの貯金1。首位に2ゲーム差で、6日からは敵地で中日3連戦。伝統の一戦の勝ち越しをプラスにとらえて、勢いを加速させたい。

(片岡 優帆)

 ◆高木豊Pоint 阪神は佐藤輝を3番に上げるなど、1番から3番まで左打者を並べた。攻撃でも再三走者にスタートを切らせるなど、明らかに高橋礼用の攻撃を仕掛けてきた。打たれた6安打全てが左打者だ。相手も研究しているし、慣れてもきている。今後は勝負を避ける時には徹底的に避けることも考えた方がいい。四球も状況次第では必要になるだろう。加えて、アンダースローの投手は足が動く前に体をかがめるから、走者はリズムを取りやすく、スタートを切りやすい。機動力への対策も考えていかないといけない。