◆春季大阪府大会 ▽準々決勝 大院大高2―1大阪桐蔭(6日・大阪シティ信用金庫スタジアム)

 春季大阪府大会は準々決勝4試合が行われ、大院大高が大阪桐蔭に逆転勝ちし、春は2011年以来の4強進出を決めた。4回戦では履正社を破っており、同一大会で履正社と大阪桐蔭から勝利を挙げるのは、09年夏の大阪大会で優勝したPL学園以来となった。

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 “2強”の牙城をまたも打ち破った。9回2死二塁、プロ注目の今坂幸暉遊撃手(3年)が、27個目のアウトとなる飛球をグラブに収めて歓喜のゲームセット。「履正社に勝ったのがたまたまと言われたくなかった。素直にうれしい」。右手を突き上げ、喜ぶナインの輪に駆け込んだ。

 先発の前川琉人投手(3年)が完投。最速は130キロにも満たないが、緩急を巧みに操り、大阪桐蔭打線を7安打1点に抑えた。打線は1点を追う9回、「今日が夏の最後だと思え」とチームを鼓舞した今坂が無死一塁で右前打。敵失の間に一塁走者が生還して同点とし、三塁まで進んだ今坂が、その後の暴投で勝ち越しのホームを踏んだ。

 「偶然勝ったのでは意味がない。2強と力でやりあって勝てるチームをつくるのが目標だった」と辻盛英一監督(47)。試合中はノーサインで、選手らはアイコンタクトなどで意思を疎通する。個々の能力の高さに頼り昨秋は3回戦敗退だったが、チーム力の向上に努めてきた成果が出た。

 一冬鍛錬を積み、大会前の練習試合ではセンバツ出場の八戸学院光星(青森)や京都外大西に勝利。手応え十分で迎えた今春は、4回戦・履正社戦のサヨナラ勝利も、決して偶然ではなかった。「ここも通過点。満足している人は一人もいない」と今坂。春の頂点はすぐそこ。記念大会を除いて16年から大阪桐蔭、履正社の甲子園出場が続いている夏も、台風の目だ。(瀬川 楓花)

 ◆大阪学院大学高校(大院大高) 1959年に関西経済学院商業として開校し、63年に現校名に改称。野球部は96年センバツが唯一の甲子園出場で、8強入りした。夏は18年北大阪大会の準優勝が最高成績。スローガンは「球志同魂」。部員数77人。主なOBに元阪神の江夏豊氏。ゴルフ部は全国高校ゴルフ選手権で男女ともに団体優勝経験がある。大阪府吹田市。

 ◆09年夏のPL学園 大阪大会準々決勝で大阪桐蔭を10―5と破り、翌日の準決勝は履正社に6―4で勝利。関大北陽との決勝は吉川大幾(現巨人3軍内野守備コーチ)の2本塁打で10―0と圧勝した。甲子園では2回戦で聖光学院(福島)を6―3で下したが、3回戦で県岐阜商に3―6の敗退。春夏通算37度の甲子園出場はこの夏が最後となっている。