◆JERA セ・リーグ 中日2―0巨人(6日・バンテリンドーム)

 右方向への打球が右翼線で弾んだ。長野久義外野手(39)は2点を追う8回無死に代打で登場すると、5球目の外角高め直球を逆らわずにはじき返した。迷わず二塁へ。通算1500安打にあと7に迫る一打で、反撃ののろしを上げた。

 「切り札」としての地位が不動のものになりつつある。4日の阪神戦(東京D)は延長10回に左前打、5日の同戦は5回に左翼線へ適時二塁打を放っており、3試合連続での代打安打をマーク。佐々木、萩尾ら若手外野陣がスタメンでの出場機会を増やすなか、プロ15年で培ってきたここ一番での集中力で存在感を放っている。

 豊富な経験値はチームの財産になっている。試合中のベンチ裏では準備を進めながら、同じく出番を待つ若手に技術面だけでなく、「こういう状況になったら出番が回ってくるかも」と助言を送っているという。現役時代から苦楽をともにしてきた矢野打撃コーチは「状態は開幕からずっといい。本当に元気です」とうなずきつつ、「姿勢で若手のお手本になってくれてるのが本当にありがたいし、試合に出たら結果も出してくれるから。なくてはならない存在です」と称賛した。

 試合前練習では外野で守備練習を終えると、三塁でのノックに飛び入り参加。移動日なしでの連戦の疲れを感じさせず、軽快な動きを披露した。試合後は「明日、また頑張ります」と敗戦の悔しさを押し殺し球場を後にした。頼もしいチーム最年長が、乗り切れない打線に火をつける。(内田 拓希)