◆プロボクシング▽WBA世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・ユーリ阿久井政悟(判定3―0)同級3位・桑原拓(6日、東京ドーム)

 WBO世界バンタム級5位で、世界初挑戦の武居由樹(27)=大橋=が、王者ジェーソン・モロニー(33)=オーストラリア=を判定で破り、世界王座奪取に成功した。武居は日本ボクシングコミッション(JBC)が認定する100人目の日本ジム所属の世界王者となり、井上尚弥が4団体統一後に返上したバンタム級戦線は、日本人が独占することになった。WBA世界フライ級王者のユーリ阿久井政悟(28)=倉敷守安=は、同級3位の挑戦者・桑原拓(29)=大橋=を大差判定で退け初防衛。

 まばゆいスポットライトを独り占めにした。ユーリ阿久井が、34年ぶりの東京ドームで日本人初の世界戦勝利の栄誉に輝いた。大差の判定で、旧知の挑戦者を返り討ち。広大な天井を見わたし「パンチが入ったら遅れて(歓声が)ワッとなって。ドーム会場ならではの雰囲気を感じられた」と柔らかな笑みを浮かべた。

 2年10か月前の日本タイトル戦の再戦だ。終了ゴングまで残り11秒で粉砕し、担架送りにした桑原を世界戦のリングで退けた。リングネームの由来となった元世界王者・勇利アルバチャコフのごとく、的確に強いパンチをビシビシと打ち込んだ。最大8ポイント差をつけて快勝。傷だらけの顔で「今日は僕の日」とはにかんだ。

 1月に無敗王者のダラキアン(ウクライナ)を判定で破り世界奪取に成功。初防衛戦でも自分のボクシングを貫いた。次戦への野心を聞かれると「無心で練習して、ただ強くなりたい」。岡山からユーリ阿久井が、またしても歴史を作った。

 ◆山中慎介Point ユーリ阿久井の強さが際立った。桑原も果敢に手を出したが、王者の方がパンチは的確だった。リングを回りながらパンチを出した桑原だが、その動きが分かっていたかのように常に主導権を握っていた。ジャブ、ストレート、どちらをとってもユーリ阿久井のパンチは硬く、じわりじわりと挑戦者にダメージを与えていた。王者になり、より成長したような気がする。