◇高校野球春季大会 全道地区予選 ▽札幌Bブロック1回戦 札幌丘珠2−4札幌新川(9日・札幌円山)

 10地区で29試合が行われた。札幌地区では、札幌新川が4―2で札幌丘珠を下し初戦突破。2年生エースの杉原遥陽(はるひ)投手が、昨夏甲子園優勝の慶応投手陣から学んだ「内角攻め」で9回を2失点(自責1)に抑え、完投勝利を挙げた。北海学園札幌は、2016年夏の甲子園準Vメンバーの三浦琢斗新監督(25)が初陣で白星。札幌創成は、岩城悠雅投手(3年)が9回1失点と好投し、3回戦に進出した。

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 札幌新川・杉原が“日本一直伝”の投球で103球を投げ抜いた。9回2死一、三塁、中堅手のグラブに飛球が収まると右拳を握りしめた。9回8安打2失点。「練習試合でも9回を投げたのが少なかったので(完投は)自分でもびっくり」と頬を緩めた。

 立ち上がりは球が高めに浮き、1回2死走者なしから連打を浴びて失点。3回は死球をきっかけにピンチを招くと、味方の失策で2点目を奪われた。「どうなるかなと思った」と河崎淳監督(59)。それでも右腕は強い気持ちを持ち続けた。「(序盤は)変化球多めで逃げに入ってしまった」と、4回以降は直球中心の配球に変更。初球から積極的に振ってくる相手打線に対して低めの投球を心がけ、4回以降は無失点に抑えた。

 得点圏に走者を背負った場面では、慶応仕込みの「内角攻め」を心がけた。同校とは20年以上親交があり、春は神奈川県内、夏は北海道内で交流するのが恒例となっている。今春も3月31日に合同練習、4月4日には練習試合を神奈川県内で実施した。

 ポジションごとのミーティングも行い、投手陣は投球技術や配球について意見交換。その中で杉原は、エースとして昨夏の全国制覇に貢献した小宅雅己投手(2年)らからアドバイスをもらい「インコースの大事さを教えてもらって、投げきれるように制球力を磨いてきた。きょうもその成果が出た」。この日は9回に1死一、三塁のピンチを迎えたが、果敢に内角を突いて後続を三振、中飛に打ち取った。

 昨秋は札幌地区2回戦で恵庭北に0―12で5回コールド負け。先発した杉原は2回5失点で降板しており、今春での雪辱に燃えている。「次は(札幌)龍谷なので、スイングにも力がある。またインコースを使って0を並べたい」。私学相手にも臆することはない。全国の頂点に立った投手陣からの教えを胸に、強気に攻め続ける。(島山 知房)

 〇…北海学園札幌は札幌啓北商に9−2(7回コールド)。7安打で9得点を奪い、新体制初陣を白星で飾った。北海出身の三浦監督が昨年11月に就任。冬はホッケー場を除雪して雪上ノックを行うなど、新たな練習方法を取り入れてオフを過ごしてきた。16年夏を最後に地区敗退が続いており、指揮官は「目の前の試合に必死に立ち向かっていくしかない。甲子園を目指せるチャンスがある以上は目指さない理由はないけど、まずはやれることをやるだけ」と気を引き締めていた。

 〇…札幌創成は札幌稲雲に5−1。108球を投げ抜いたエース右腕・岩城は、完封目前の9回に1点を失い「練習試合でも最後に粘れないのが課題」と唇をかんだ。4月の岩手遠征では、甲子園常連校の花巻東打線に対し3回1安打無失点。「コースに投げられれば通用する」と自信をつかんで今季初戦を迎えた。3回戦では昨秋敗れた北星学園大付と対戦する可能性があり「絶対に負けない」と闘志を燃やしていた。