●全線開通は10月1日ごろ

 昨年12月から冬季運休していた黒部峡谷鉄道(黒部市)のトロッコ電車が19日、宇奈月−笹平間(7キロ)で営業運転を再開し、観光客は好天の下、新緑の絶景を満喫した。今年は沿線設備が能登半島地震で被害を受け、復旧工事のため終点欅平(けやきだいら)までの全線開通は10月1日ごろとなる。

 宇奈月駅で開始セレモニーが行われ、鈴木俊茂社長は「全線開通へ全力を挙げ、宇奈月、黒部、富山県のにぎわいに貢献したい」とあいさつ、武隈義一黒部市長が広域観光推進に力を入れる姿勢を強調した。宇奈月温泉の女将(おかみ)らが10月の黒部宇奈月キャニオンルート一般開放の横断幕を掲げ、トロッコ電車を見送った。

 黒部峡谷鉄道によると、4〜5月の予約乗降客数は前年並みの6万9千人で、このうち3万人は外国人客。外国人客はコロナ禍前の2019年が2万人となっており、大きく伸びている。昨年の年間乗降客数は53万6千人で、今年は55万人を目指す。

 25日から猫又までの11・8キロを運行、地震で損傷した鐘釣橋復旧後の10月1日をめどに全線20・1キロを開通し、これに合わせてキャニオンルートの一般開放も始まる。