能登半島地震による液状化現象で甚大な被害を受けた内灘町で20日、地震で全半壊した建物の公費解体が始まり、最も被害の大きかった町北部の西荒屋区で作業が行われた。対象となる町内の建物は約千棟で、町は来年10月末をめどに完了を目指す。

 公費解体の対象となるのは、半壊以上の住家と倉庫などの非住家。町によると、19日時点で半壊以上約千棟のうち、約280棟から申請があった。

 初日に作業が行われたのは、液状化で大きく傾き、「大規模半壊」と認定された木造2階建ての家屋。解体業者の作業員4人が道路側に倒れた擁壁や樹木を撤去した。後日、天井の壁をはがしたり、畳を運び出したりした後、重機で取り壊し、2週間ほどで工事を終了する。

 町は、申請の順番と危険性の高さなどを考慮して順に作業を進める予定で、担当者は「被災者が一日でも早く日常を取り戻せるよう、解体のペースを上げていきたい」と話した。

  ●中能登町でも開始

 20日は中能登町でも家屋の公費解体工事が始まった。初日は民家など3棟が対象となり、作業員が内装材をはがすなどした。町には17日時点で351棟の解体申請があり、順次着工する。