矢田息吹 記者「満額・満額・満額 異例の事態となっています」

大手企業の春闘が集中回答日を迎えた13日、広島県内の企業からも高水準の賃上げ回答が相次ぎました。

岸田総理大臣「賃上げと成長の好循環を作っていくために、今年の春闘は大変重要と認識している。日本経済の今後を左右するものであると考えている」(11日・福島市)

労働組合が会社に対し賃上げなどを求め交渉する「春闘」

岸田総理はこれまで、ことあるごとに賃上げを強調していました。

連合広島 大野真人会長「物価上昇局面で将来的に労働力が不足する中で、企業としても人への投資は非常に問題意識を持っている。そういった意味では日本全体で賃金を上げる流れができている」

県内では自動車メーカー大手のマツダが、賞与と賃金を合わせて過去最高の6.8%の賃上げ幅を実現する満額回答。

大手製造メーカーを中心に、満額回答や要求を上回る回答が続いていますが喜ぶばかりではありません。

経産省の調査によりますと、全国の企業で働く従業員約4700万人のうち7割ほどが中小企業の従業員です。

大企業だけが賃上げを進めても経済の活性化にはつながらないといいます。

連合広島 大野真人会長「今回の春闘の一番大きなポイントは中小企業の春闘に波及させること。その底上げは必須だと思っています」

しかし賃上げの波が中小企業に広がるには、まだ時間がかかる事情もあるようです。

前田自動車 前田大輔社長「今のところ春に賃上げというのは考えていません。」

広島市安佐南区で10人の従業員を抱え、自動車の整備や販売を行う会社では、この春の賃上げを見送りました。

理由はなかなか上がらない発注先との取引価格です。

一部の取り引き先は、この春から価格を上げる予定ということですが、全体でみるとまだ限定的だといいます。

前田自動車 前田大輔社長「まだまだ一部なので(取引価格の)全体的なボトムアップがないと、それを自分の社員のところに転嫁するというのは難しい。我々の社員の給料を上げていくためにも、やはり元請け(業者)に我々の対価を上げていただくことを期待している」