「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ?  「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。

大沢雄城 さん
建築家。1989年、新潟市生まれ。2012年に横浜国立大学を卒業後、横浜市にある設計事務所〈オンデザイン〉に所属。建築設計にとどまらず、まちづくりや遊休不動産等のリノベーションの企画なども手がける。2021年に新潟市にUターンし、現在は横浜市と新潟市の2拠点で活動中。初めて訪れたまちを歩いて素敵なスポットを発見するのが得意。編著書『多拠点で働く 建築・まちづくりのこれから』発売中。

https://instagram.com/osawa_opdo

妙高に冬しか行ったことないのはもったいない

皆さんは、妙高に行ったことがありますか? 私は幼少期に家族でスキー旅行で訪れた記憶はあるものの、新潟市内からすこし遠いイメージもあり近年はなかなか行く機会もなく、馴染みがあるとは言い難かったです。しかし、2022年の夏から秋にかけて妙高にある〈ロッテアライリゾート〉の客室の一部を”ワーケーションオフィス”にリノベーションする仕事を頂く機会があり、新潟市内から妙高の現場まで頻繁に通っていました。すると、それまではぼんやりと「ウィンタースポーツリゾート地」のイメージだった妙高が、「実は夏や秋こそ訪れて楽しいのでは!?」と実感したので、私が現場に通いながら体験した妙高の魅力をお伝えしたいと思います。 プロジェクトの現場である〈ロッテアライリゾート〉を最初に訪れたのは夏真っ盛りの8月でした。その時に感じたことは、緑豊かな高原の避暑地リゾートの趣きで、とても穏やかな時間が流れているということです。ウィンタースポーツを目的に訪れるとなるとアクティブなイメージですが、それ以外の季節はこの場所で暮らすようにゆったりと過ごしてみたいなと感じました。

〈ロッテアライリゾート〉からの夏の風景

妙高で暮らしているかのようにワーケーションをしたい

本来ワーケーションとは、観光地などで旅行しながらリモートワークなどで仕事もすることです。しかし、今回のワーケーションオフィスの設計コンセプトは、ただ旅行気分で仕事をするのではなく、妙高という土地で「暮らす/過ごす」と「働く」が混じり合って、心と体がゆっくりと満たされるような“ウェルビーイング”な体験ができることを目指しました。そこで、空間体験のなかで日常と非日常が混在するように、オフィスでありながらスナックやバーのようなカウンターテーブルなどをデザイン。働きながらその場に一緒にいる人たちと自然とコミュニケーションが生まれるような空間となっています。

ワーケーションオフィス

このワーケーションオフィスは、宿泊者の方も一部利用できるので機会があれば是非利用してみてください。 詳細:https://www.lottehotel.com/arai-resort/ja/facilities/workstation1.html

夏も自然を満喫できるアクティビティがたくさん

オフィスが完成してしばらく経った先日、新潟※ (コメジルシ) プロジェクトの企画でロッテアライリゾートを舞台としたフォトツアーイベントに参加させてもらう機会があり、久々に妙高を訪れることができました。このフォトツアーは、他の参加メンバーと一緒に、森林浴を楽しみながら散策をしたり、フォレストアドベンチャーを楽しみながら、思い出のシーンを撮影していくプログラムとなっていました。仕事で訪れていたときには体験しきれなかった夏のアクティビティを、ついに体験することができました。フォレストアドベンチャーはかなり本格的で、大人でもかなりスリルを味わえる一方、樹木の上からの絶景に癒やされるとてもエキサイティングな体験でした。

フォトツアーの様子

そしてホテルに戻り、星空温泉で汗を流したあと、夜には私が設計したワーケーションラウンジの〈well-beingステージ〉で、撮影した写真の品評会と懇親会を行いました。ツアーのプログラムを通じて、まさに多様な人々の交流と新しい発見の場としてのワーケーション拠点の醍醐味を体験することができました。

〈well -beingステージ〉での品評会の様子

秋の紅葉に染まる山並みのパノラマも必見

夏が終わると次にやってくるのは紅葉のシーズンです。設計で妙高に通っていた際も、プロジェクトの竣工が近づいてきた頃には秋も深まってきており、徐々に完成していくワーケーションオフィスの窓から望む山の見事な紅葉には仕事も忘れてしばらく見とれてしまうほどでした。また、豪雪地帯ならではの建物への雪囲い作業などで施設のあちこちが次第に慌ただしくなってくる様子も、目前にやってくる楽しいウィンタースポーツシーズンへのワクワクを掻き立てられ、この土地で人と自然が寄り添いあった暮らしの営みが感じられる、とても印象的な風景でした。

〈ロッテアライリゾート〉からの秋の風景

ホテルを飛び出し思い切ってまちに出てみる

もちろん妙高の楽しみ方は自然だけではありません。私もプロジェクトに携わっている期間中にも何度かロッテアライリゾートに宿泊させてもらう機会がありましたが、妙高での暮らしや文化に触れるには、やはりホテルの中だけで完結するのではなく、ちょっと山のふもとのまちまで足を伸ばしてみるのもとてもオススメです。 私の場合は〈神の宮温泉 かわら亭〉で素晴らしいサウナと温泉を堪能した後に、サウナ飯として〈龍馬軒〉の激辛旨の麻婆麺でふたたび汗だくになる、至高の“ととのい”ルーティンにハマってしまい、仕事にかこつけて妙高での羨ましいウェルビーイングなライフスタイルを存分に堪能していました。

〈神の宮温泉 かわら亭〉
〈龍馬軒〉の麻婆麺

私は仕事柄いろいろなまちを訪れることが多いのですが、いつも意識しているのは、旅行者目線だけではなく、そのまちで暮らしている人と同じ体験やふるまいを意識的にしてみること。そうすることで、そのまちの歴史や文化、知られざる本当の魅力が浮かび上がってくるような気がします。妙高も多くの人が訪れるウィンタースポーツシーズンの冬だけでなく、四季を通じて何度か訪れてみると本当のその土地の魅力が見えてくるのではないでしょうか。 みなさんも四季折々の妙高をぜひ発見してみてください!


編集部コメント

私も大沢さんと同じく、新潟※ (コメジルシ) プロジェクトの企画によるフォトツアーに参加し、妙高を存分に満喫してきました。どうしてもウインタースポーツや温泉といった冬のイメージが強い妙高。ですが、〈ロッテアライリゾート〉を中心に、フォレストアドベンチャーやフォレストウォーク、サウナなど夏の時期でも楽しめる場所だと感じています。〈神の宮温泉 かわら亭〉や〈龍馬軒〉の麻婆麺は私も好きな場所・サ飯です。大沢さんが設計に携わったワーケーション施設で仕事しながら、妙高を楽しむ過ごし方をしてみたいですね。(小日山)