これまで、「意外と近い、にいがた女子旅」と題し、新潟のあらゆるスポットを巡ってきたモデル・斉藤アリスさん。私生活では2021年に結婚し、「本と歴史と温泉が大好き」なパートナー、愛犬・リリーとともに暮らしています。今回は、パートナーを得たアリスさんが、これまでの新潟旅を振り返って「カップルで行きたい新潟TOP3」をご紹介します。

「会話を楽しみたい」カップルは〈奥胎内ヒュッテ〉へ

大自然のなかにひっそりと佇む奥胎内ヒュッテ。

「最近ちょっと落ち着いてきたかも?という倦怠期気味なカップルにもおすすめです」と、アリスさんが話すのが胎内高原旅です。胎内高原よりさらに山奥に進んだ場所にあるホテル〈奥胎内ヒュッテ〉は、携帯電話の電波が届かない場所。スマホは圏外、全室テレビなしで、デジタルデトックスができます。

「私は夫とカフェによく行くんですけど、ごはんが出てくるまでの待ち時間、ついスマホをいじっちゃうんですよね。でも電波の届かない場所なので、自然と会話せざるを得ない雰囲気に(笑)。結婚3年目の今こそ、夫とこういう場所に行くのはいいなって思います」(アリスさん 以下同)

バードウォッチングがしたい方は、ホテルの受付で双眼鏡を無料レンタルできます。

〈奥胎内ヒュッテ〉の周辺には、トレッキングコースがあります。鳥のさえずりが聞こえるテラスで朝食をとったら、森林浴へ出かけましょう。

「以前訪れたとき、あまりの猛暑でトレッキングはとてもできないと思っていたんです。でも森に入った瞬間、クーラーが効いてるかのような涼しさで、自然の偉大さを感じました」

真紅のくちばしとつぶらな瞳が愛らしい鳥「アカショウビン」は、奥胎内に子育てにやってくる渡り鳥。5月後半から8月中旬くらいにかけて、「キョロロロロ……」という鳴き声が聞こえたら双眼鏡をのぞいてみて。

「そのときは、鳴き声は聞こえたけど、姿は見られませんでした……」とアリスさん。運が良ければ姿を現してくれるかもしれません。

9月以降は、青い鳥のオオルリ、キツツキの一種・オオアカゲラなどのほかに、イヌワシやトビなど猛禽種も見られます。

カワセミの仲間であるアカショウビン。〈奥胎内ヒュッテ〉のシンボルマークにも。(写真提供:胎内市)

「アカショウビンやそのほかの生き物たちも、この涼しさがあるから生きていけるんだなって。森の中を歩きながら、『この自然を守っていきたい』という気持ちになりました」

バードウォッチングのベストシーズンは6月〜8月上旬ですが、秋になれば静かな森でトレッキングを楽しむことができるので落ち着いた時間を過ごしてみては。平地より5度以上涼しい奥胎内。長袖のパーカーなど脱ぎ着できる防寒具とトレッキングシューズを持参してくださいね。

「きのこや鳥に詳しいガイドさんと一緒に森を歩いたのがすごく楽しくて。木の周囲を計り『これは樹齢年の木ですね』と話してくれたり、『これは食べられるきのこですよ』と教えてくれたり。空気のような関係になりつつある熟年カップルも、森を歩いているうちに自然と会話が生まれること間違いなし」

そして、〈奥胎内ヒュッテ〉に宿泊するなら、ぜひ見てほしいのが満天の星。胎内高原は星空がキレイに見えることで有名で、毎年8月下旬には世界中からファンが集まる天体観測イベント「胎内星まつり」が開催されるほど。都会では味わえない星空を、ぜひふたりで見上げてみてください。

アリスさんが訪れたときの記事はこちら

自然を食して・感じて、心をリセットする胎内高原旅

(2018/09/14公開)

Information

【奥胎内ヒュッテ】
address:新潟県胎内市下荒沢字胎内山1202-49
tel&fax:0254-48-0161
access:中条駅から車で約50分
web:奥胎内ヒュッテ


お気に入りの一冊を手に「がんばらない旅」を

〈カーブドッチ ヴィネスパ〉の外観。

パートナーとふたりでゆっくりと過ごす、「頑張らない旅」をしたいカップルは〈カーブドッチ ヴィネスパ〉へ。

〈カーブドッチ ヴィネスパ〉は、2本の自家源泉を持つ温泉と、ラグジュアリーなホテル、オーガニックブランド〈AVEDA〉のスパ、慈味豊かな味わいを楽しめる和食レストランを兼ね備えた、癒やしの複合施設です。

地元の食材を使った本格的なフレンチが食べられる。

〈レストラン カーブドッチ〉では地元の旬の食材を使ったフレンチと、〈カーブドッチワイナリー〉でつくられたワインとのペアリングを楽しめます。

「実は、私の夫はワインが苦手なんですが、カーブドッチではビールもつくっているので、ふたりでゆっくりとお酒を楽しめそうです」(アリスさん 以下同)

また〈カーブドッチ ヴィネスパ〉は、館内全体がブックラウンジになっています。

「夫は本が大好きで、我が家の天井まである本棚には1000冊以上の本が並んでいます。本はデジタルではなく紙で読みたい派の彼を連れてきたら、喜ぶだろうな」

図書館や学校などさまざまな場所でブックライブラリーをデザインするブックディレクター・幅允孝さんがディレクションしました。

「食べて、飲む」「こころを整える」「私だけのこだわり」「よのなかどうなる?」「世界を旅する」など、10のテーマで選書された本が約4000冊並びます。本は購入も可能です。

「選書テーマが絞られているからこそ、普段は手に取らないような本にも目がいきます。以前訪れたときは、5冊くらい買っちゃいました」

本棚の中には、じっくり本と向き合える小さなスペースも。

2階に上がると、ゆったりと座れるソファ席が点在。入浴後のお客さんも、ここでのんびり過ごせます。

「施設内にはスパもあるから、ブックカフェとスパ、カップルで別々の時間を楽しむのもいいですね。観光地を次々と巡るアクティブな旅もいいけれど、好きなものに囲まれたこの場所で、1週間くらいゆっくりと過ごしてみたいな」

アリスさんが訪れたときの記事はこちら

パートナーとの「頑張らない旅」。「食×温泉×本」を堪能

(2023/01/06公開)

Information

【カーブドッチ ヴィネスパ】
address:新潟県新潟市西蒲区角田浜1661
tel:0256-77-2226
access:新潟駅南口から無料送迎バスで約50分(※0256-77-2226にて、乗車日2週間前までに要予約)
web:カーブドッチ ヴィネスパ


歴史好きなパートナーと「佐渡」をじっくり学ぶ

「最近、近代史に興味が湧いていて。江戸時代に発見されたといわれる佐渡・相川金銀山に行ってみたいんです」と話すアリスさん。歴史好きになったきっかけは、明治時代後期の北海道を舞台にしたアニメ『ゴールデンカムイ』にハマったことだそう。

「夫は人文学系の哲学を学んでいたので歴史が大好き。古い歴史を持つ佐渡では、歴史博物館を巡りたいですね」(アリスさん 以下同)

佐渡には、〈佐渡博物館〉や大正9(1920)年に建てられた宿根木小学校の木造校舎をそのまま残した〈佐渡国小木民俗博物館〉、金銀の選鉱工程である石うす回しを体験できる〈史跡佐渡奉行所跡〉など、歴史を体感できる施設が多くあります。歴史好きのカップルにはぴったりのスポットです。

幅115メートル、奥行き80メートル、高さ35メートルというスケールの大きさから「東洋一の浮遊選鉱場」と称された〈北沢浮遊選鉱場跡〉。

国史跡〈北沢浮遊選鉱場跡〉は、昭和から稼働した、日本で初めて浮遊選鉱法を金銀の採取に応用し実用化した施設の跡地です。ラピュタやマチュピチュのように美しいこの場所は、ふたりで散歩しているだけで非日常を味わえます。

「佐渡はフォトジェニックな場所が多い。このときは、緑に映えるブルーのワンピースを選んだんだけど、正解だったな」

Information

【北沢浮遊選鉱場跡】
address:新潟県佐渡市相川北沢町3-2
tel:0259-74-2389
fax:0259-74-3235
access:両津港から車で約50分
(問い合わせ)株式会社ゴールデン佐渡
web:佐渡金銀山を巡る|佐渡島(さど)の金山

レトロな背景で、どこで写真を撮っても絵になる宿根木エリア。

佐渡には、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている漁村集落・宿根木があります。かつて廻船業が盛んだった江戸時代の面影が、今でも色褪せず残っているこの場所は、時間が止まっているかのようなまち並み。石畳の小路と縦板張りされた家屋のレトロな景観に、「東京では見られない景色ですよね。海外のパートナーを連れてきても喜ばれそう!」と、アリスさん。

約1ヘクタールの土地には船板などを利用した板壁の民家100棟余りが密集し、今もなお人々が生活を営んでいます。幕末から静かに息づく密集した家屋を眺めながら、ゆっくり散歩してみましょう。

Information

【宿根木】
address:新潟県佐渡市宿根木
tel:0259-27-5000(佐渡観光交流機構)
fax:0259-23-5030(佐渡観光交流機構)
access:両津港から車で約1時間15分
web:宿根木 公式ホームページ

底まで透き通る海。寄りでも引きでも絵になる光景。

思わず写真を撮りたくなってしまう美しい景色も佐渡の魅力。小木エリアに位置する矢島体験交流館では、エメラルドグリーンの海上でたらい舟に乗船できます。水深が浅いから、海底で寝ているフグを眺めることも。

船頭さんにお願いすれば、自分で漕ぐこともできます。赤い橋のたもとまできたらシャッターチャンス。カップルで海上さんぽを楽しみながら、絵画のような景色を写真に収めてみてください。

Information

【矢島体験交流館】
address:新潟県佐渡市小木365-1
tel&fax:0259-86-2992
access:両津港から車で約1時間10分
web:矢島体験交流館|さど観光ナビ

アリスさんが訪れたときの記事はこちら

360度フォトジェニック! 佐渡をかわいく切り取ろう

(2018/05/31公開)

日本の歴史を感じるモノ・コトが、至るところにあるのが新潟の魅力。「佐渡島の金山には金を生産し国の財政を支えた歴史があったり、夏目漱石の『坊っちゃん』にも登場した新潟名物・笹飴は100年以上も愛されていたり……深い歴史のある新潟は、大人になった今だからこそ行きたい場所」と話すアリスさん。

歴史を堪能したあとは、新潟の大自然や額縁に収めたくなるような景色に囲まれて、パートナーといつもと違うひとときを過ごしてみてください。

カップル旅で行きたい佐渡の宿まとめはこちら。

credit text:白石果林