不当な理由で解雇されたとして、大津漁協(茨城県北茨城市)元職員の男性2人が同漁協を相手取り、地位確認と賃金などの支払いを求めた訴訟の判決が26日、水戸地裁であった。三上乃理子裁判長は解雇を無効として、同漁協に対し2人に計1200万円余りの支払いを命じた。

訴えたのは、いずれも元職員の永山孝生さん(43)と鈴木基永さん(42)の2人。訴訟では2人の解雇に合理的な理由があるかが争点となった。

訴状や両者の準備書面などによると、永山さんは、同漁協が東日本大震災後の試験操業でシラスの放射性物質の分析結果を改ざんしたり、補助金を不正受給したりした疑いがあると指摘。週刊誌記者へ情報提供したほか、告発もした。同漁協側は「改ざんではなく数値の訂正」などと主張。「虚偽のリークや告発で信用を毀損(きそん)した」と訴えていた。

判決理由で三上裁判長は、週刊誌記者の取材に応じたことについて「漁協の信用を低下させるものとは認められない」と指摘。補助金の不正受給疑惑についても「疑念を抱くことが不合理とまでは言えない」と述べ、解雇は「合理的な理由を欠き、権利を濫用したもの」とした。活動を共にしてきた鈴木さんについても解雇無効とした。

同組合幹部は「判決文を見ていないので何も答えられない」とコメントした。