おならをするたびに、ものすごく硫黄臭いという人はいませんか。実はおならは、食べたものや腸内環境の影響で、一時的に臭いがきつくなることはよくあります。しかし臭いおならが長く続く場合は注意が必要です。大腸がんなどの病気の症状であれば、すぐに治療が必要です。硫黄臭いおならについて、原因や改善方法を解説します。

硫黄臭いおならは何が原因?

おならをしたときに硫黄のような臭いが漂ってくると、本人も周りにいる人も不快に思うでしょう。なぜ、硫黄臭いおならが出るのでしょうか。その原因について解説します。

そもそもおならのにおいとは

おならとは、食べたり飲んだり、おしゃべりしたりしたときに飲み込んだ余分な空気と、食物を消化する過程で発生したガスです。おならは主に酸素、窒素、二酸化炭素、水素、メタンなど無臭のガスでできており、硫化水素やアンモニアなどの臭いガスは、全体のたった1%ほどしかありません。つまり、本来おならにはほとんど臭いがないのです。
ところが、体の中を通って外に出されるまでの間にさまざまな臭いが後付けされ、おならとして出たときに、硫黄のような臭いになっていることがあります。

硫黄臭いおならが出る原因

硫黄臭いおならが出る原因は、ほとんどの場合、食べ物や腸内環境の影響によるものです。
肉や魚など大量のたんぱく質を食べると消化しきれず、消化されなかったたんぱく質は悪玉菌によって分解されます。この時に、硫化水素など硫黄のような臭いのガスが生み出されるため、おならが臭くなります。

また、腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が多くなっている場合にも、おならが硫黄臭くなります。特に食生活の乱れやストレスは、腸内細菌のバランスに悪影響を及ぼします。ストレスが強いと過敏性大腸症候群になって下痢や便秘をしやすくなり、腸に便がたまっていることでもおならが臭くなります。

硫黄臭いおならの改善法は?

硫黄臭いおならは、食生活や生活習慣に気をつければ、改善することができます。具体的な改善方法をご紹介します。

乳酸菌を積極的にとる

乳酸菌は、腸内の善玉菌を増やし、腸内の細菌フローラをバランスのいい状態にしてくれます。善玉菌は、消化や吸収を助けて悪玉菌が増えるのを防ぎ、免疫機能を調整したり、便通を良くしてデトックスを促したり、腸内環境を整える働きがあります。腸内環境が整っていると、おならも臭いがほとんどしないものになります。

乳酸菌の多い食べ物としてよく知られているのが、ヨーグルトやチーズなどの乳製品です。他に、納豆、キムチ、ぬか漬けなどにもたくさんの乳酸菌が含まれています。乳酸菌を含む食べ物は、一度に大量に摂るのではなく、毎日継続して少しずつ摂ることが理想です。食事のたびに、意識して乳酸菌を含む食品を摂るようにしましょう。

食物繊維を積極的にとる

腸内に便がたまっているとおならが硫黄臭くなるので、臭いを改善するためには、便通をよくして、便をためないようにすることです。
便秘の解消に効果的な食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分けられます。
りんごや昆布などの水溶性食物繊維は、便を柔らかくして出しやすくし、きのこや海藻などの不溶性食物繊維は便の嵩を増やします。積極的に食物繊維を摂ることで、便と一緒に不要なものが排出され、おならの硫黄臭さを軽減することができます。

おならのにおいがきつくなる食べ物を避ける

おならが硫黄臭くなるのは、食物の影響もあります。
肉や玉子などの動物性たんぱく質を過剰摂取すると、分解するときに臭いのあるガスが発生するため、おならが臭くなります。また、にんにくや玉ねぎは硫黄がたくさん含まれているため、これらを摂りすぎることも、おならの硫黄臭さの原因になります。
また意外にも、野菜がおならの硫黄臭さの原因になることもあります。キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科の野菜は、炭水化物が含まれるため消化しにくく、おならが臭くなりやすいと言えるでしょう。

便意があったらトイレに行く

便意を我慢すると、本来排出されるはずの便が腸内に長くとどまることになり、おならが臭くなります。仕事中や授業中、トイレに行きたいというのが恥ずかしいという人は多いと思いますが、便意を我慢し続けて硫黄臭いおならが出たほうが、よっぽど恥ずかしい思いをすることになるでしょう。
便意を感じたときにはできるだけすぐにトイレに行き、スッキリ解消してください。

硫黄臭いおならは大腸がんの可能性もある?

硫黄臭いおならは、大腸がんの症状である場合があります。健康でただ硫黄臭いだけのおならと、大腸がんの可能性のあるおならを見分けるためは、どこに注目したらいいのでしょうか。

危険なおならのにおいとは

一時的におならのにおいが硫黄臭い場合は、それほど心配ありません。食べ物や体調が影響していることが多いため、長くても数日程度でおならの硫黄臭さは軽減するでしょう。
危険なのは、1週間以上など、長期間にわたって硫黄臭いおならが続いている場合です。腸内に腫瘍があったり、炎症があったりすると、おならがいつもより臭くなることがあります。

おなら以外の大腸がん初期症状

大腸がんの初期症状は、ほとんど自覚がありません。ただ、症状が進行してくると、おならが臭くなる以外にも、さまざまな症状が現れてきます。
はじめは、常にお腹が張っている感じがして、下痢や便秘を繰り返したり、便が細くなったり、便に異常が起こります。
大腸の粘膜にがんができると、血便や下血を起こすようになります。さらに進行すると、体重が減少していきます。これは、がん細胞が大きくなろうと、脂肪やたんぱく質などを分解して栄養にするからで、いつもと同じように食べているのに一向に体重が増えず、逆に減っていきます。

おならに異常が出るそのほかの病気

おならが出やすくなる病気には他に、大腸ポリープがあります。ポリープが大きいと便が通過しづらくなり、おならが出やすくなります。大腸ポリープは5mmを超えると癌化するリスクが出てくるため、注意が必要です。
また、ストレスが主な原因で起こる過敏性腸症候群や、食事などで空気を飲み込みすぎることで起こる呑気症(のんきしょう)でもおならが出やすくなります。

おならで病気を疑ったら何科を受診する?

おならが硫黄臭いとか、おならの回数が多すぎるときは、病院を受診して専門医に相談してみるといいでしょう。
おならで病気を疑ったときに受診するなら、消化器内科です。大腸がんは、早期に発見すれば治る可能性が高いため、毎年大腸がん検診を受けることもおすすめです。特に50歳以上になると大腸がんの発症数が多くなるので、毎年の健康診断や人間ドッグと合わせて、大腸がん検診も受けるようにしましょう。

まとめ

おならが硫黄臭いときは、ほとんどの場合、それほど心配はありません。しかし、硫黄臭いおならが長い間続いているとか、おならの硫黄臭さの他に下痢や便秘を繰り返したり、便に血が混じったりするようであれば、早急に病院を受診しましょう。
便の様子は、体の健康のバロメーターです。毎日自分の便の様子を観察することも大切です。