「経営者」はM&Aをどう考えているのか。中堅・中小企業向けのM&Aアドバイザリーを行うNEWOLD CAPITAL(東京都渋谷区)は、会社を売却する意向のある経営者および自営業者を対象に「会社売却(M&A)に関する意識調査」を実施した。M&Aの検討を始めた要因・背景の1位は「後継者不足(事業承継)」(55.7%)で半数を超えた。

 2位は「会社を成長させるため」(35.7%)、3位は「従業員の雇用継続や待遇維持」(30.6%)、4位は「選択と集中(特定の事業分野に経営資源を集中)」(21.2%)と、会社の成長戦略を目的とした要因が上位を占めた。

●今後の売却時期は?

 今後の売却時期については、最多が「将来的には売却したいと思っている、または検討している」(53.7%)、次いで「今後も機会があれば売却をしたいと思っている」(23.5%)という結果だった。

 時期が決まっている回答(「すぐにでも売却したいと思っている」5.1%、「3年以内に売却したいと思っている」7.8%、「10年以内には売却したいと思っている」9.8%)は合わせて22.7%と約2割に留まった。売却意向はあっても、時期についてはまだ漠然としているようだ。

●M&Aに対するイメージは?

 M&Aに対するイメージを尋ねた。最も多かったのは「事業承継・後継者問題の解決」で71.8%、次いで「経営基盤の強化」 が45.5%、「経営再建」が43.5%、「成長戦略の手段」が38.8%、「従業員の雇用維持(待遇の改善)」が36.9%と、ポジティブなイメージが上位を占めた。

 一方ネガティブなイメージは、最多が「企業の身売り(乗っ取り)」が26.3%、次いで「従業員の解雇」が14.1%、「従業員の待遇悪化」が13.3%と、割合としては少なくなっていた。

●M&Aを進める上で難しいと感じる点は?

 M&Aを進める上で難しいと感じる点を尋ねた。1位は「M&Aが正しい選択か分からない」(43.5%)、2位は「希望株価で譲渡できるか不安」(33.3%)、3位は「譲渡できるのか不安」(29.8%)、4位は「買い手がいるのか不安」(29.4%)だった。

 M&Aに対するイメージは良い傾向があるものの、実際に進める上では多くの不安があることがうかがえた。

●M&Aに関する情報収集経路は?

 M&Aに関する情報収集経路については、1位が「顧問会計士(税理士)」(47.1%)、2位は「経営者仲間」(37.3%)、3位は「銀行」(36.9%)、4位は「M&A仲介、コンサルティング会社」(31.0%)という声が聞かれた。

 NEWOLD CAPITALは「中小企業庁の試算によると、2025年までに70歳を超える中小企業経営者は245万人に達し、そのうち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定である。この現状を放置すると、中小企業・小規模事業者廃業の急増で、25年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると言われている」とコメントしている。

 今回の調査は、売上高1億円以上の会社経営者・自営業(社長)を対象に、インターネットで行った。期間は23年12月19〜22日、有効回答数は255人(会社売却の意向のある会社経営者および自営業者を抽出)。