「こんなのAppleらしくない」「映像を見ていられない」──米Appleが5月7日(日本時間)に発表した新型「iPad Pro」のPV(プロモーションビデオ)が物議を醸している。X(旧Twitter)では、発表直後からAppleの行った過激な表現を疑問視する声が多く見られた。

●Appleは何をした?

 話題を呼んでいるのは、新型iPad Proの紹介が始まったイベント前半に流された映像だ。iPad Proの多機能さを表現するものとして、トランペットを皮切りにアーケードゲーム機やペンキの缶、ピアノ、(他社の)PCディスプレイ、メトロノーム、粘土彫刻、置き時計、テーブルライト、ボードゲーム、DJ機材、アングリーバードのキャラクター、カメラ、ギター、本、画材、デッサン人形などを巨大なプレス機で押しつぶし、プレス機を元に戻すと、そこには新型iPad Proがたたずんでいる──という内容だ。

 それぞれの道具がゆっくりと押しつぶされて破壊され、ペンキで汚れていく様をじっくりと見せつけるような表現で、それぞれの道具に愛着を持っているクリエイターから見ればかなり衝撃的な映像であることは否めない。

●破壊がテーマの映像に「侮辱的だ」との声が多数

 Appleは発表会の中で「私たちは今日、iPadの可能性の限界を広げるだけでなく、破壊します!」と言及しており、「破壊」を新製品のテーマとしていた。

 ティム・クック氏もXで該当シーンをピックアップして紹介しているが、ツイートには「侮辱的だ」「文化を生み出すガジェットに愛情がない」「悲しい気持ちになった」「クリエイターを尊重していない」といった声が寄せられていることが確認できた。

 詳細に精査したわけではないが、映像表現自体を批判しているのは日本人とみられるXユーザーが多く、英語圏などのXユーザーは新型iPad Proの機能自体を批判するツイートが多いように感じられた。ただし、表現を疑問視する日本人のツイートには「そう思っているのは日本人だけではありません」といった海外からのリプライも寄せられており、“破壊”が気になるのは日本のお国柄というわけでもなさそうだ。

 クリエイターを尊重し、サステナビリティの一環として環境保護にも注力するとアピールしてきたAppleの意外な一手に、あなたはどう感じただろうか。