SwitchBotから、スマートリモコン「SwitchBot ハブミニ」のMatter対応版が登場した。

 スマートホームの共通規格であるMatterに対応しているということは、共通の手順でセットアップができることに加えて、Appleの「ホーム」アプリを使って、赤外線リモコン対応の家電製品の操作が可能になることを意味する。

 果たしてこれらの使い勝手はどのようなものだろうか。また従来の「ハブ2」にあった登録方法による制限は解消されているだろうか。今回実機を購入したので、Matterのセットアップ手順を始め、使い勝手を紹介する。

●外観は従来モデルと同様 ポートはUSB Type-Cに

 SwitchBotシリーズでは、既に販売中の「SwitchBot ハブ2」がMatterに対応しており、本製品が2製品目のMatter対応スマートリモコンということになる。日本国内で販売されているスマートリモコンでMatterに対応しているのは、同社以外では現状「Nature Remo nano」しかないため、貴重な存在といえる。

 本製品の外観は、従来のSwitchBotハブミニと変わらない。小さな箱型のボディーの裏には、USBケーブルの差し込み口があり、ここから給電を行う。背面には壁面に掛けておくための穴が開いているのに加え、両面テープも付属しており、赤外線リモコンの信号が届きやすいところへの設置も容易に行える。

 USBポートは、従来のmicroBからUSB Type-Cと改められている。このUSBポートは、背面のくぼんだ位置にあり、ポートの向きを見分けづらく、ケーブルをうまく挿せないことが少なくなかったので、表裏がないUSB Type-Cへの変更は歓迎だ。これ以外については、ざっと見た限りでは変更点はないようだ。

●Matter利用時もSwitchBotアプリへの登録は必要

 利用にあたっては、まず従来モデルと同じく、SwitchBotアプリに本製品を登録した上で、赤外線リモコン対応の家電を登録する。赤外線リモコンの設定は既存製品からのコピーも可能なので、製品の乗り換えはスムーズだ。

 本製品はiPhoneのホームアプリからも操作できるのが利点だが、ホームアプリには家電製品を登録する機能はないため、必ずこのSwitchBotアプリで家電製品の登録を行った後、ホームアプリと連携する必要がある。Matter対応スマートプラグのように、元メーカーのアプリを使わずにホームアプリから操作できるわけではないので要注意だ。

 続いて、連携作業を見ていこう。

●全ての赤外線リモコン対応家電を操作できるわけではない

 SwitchBotアプリ上で本製品の追加と赤外線リモコンの登録が終われば、Matterと連携するための作業を行う。これによって、iPhoneのホームアプリから、最大6つの赤外線リモコン対応家電の操作が行えるようになる。言うまでもないが、ネットワーク上にHomePodもしくはApple TVがあることが条件だ。

 手順については、本連載で以前紹介したSwitchBot ハブ2やNature Remo nanoといったMatter対応ハブと同様、製品添付の10桁コードを使ってのインストールとなる。まれにMatter特有の理由不明のタイムアウトが発生するが、一からやり直せばうまくいく場合が多い。特に設定を変えていなくとも、何度も繰り返していれば成功する場合があるのも、他のMatter対応製品と同様だ。

 こうして見ていくと、一見何の問題もないように見えるが、気をつけなくてはいけないのは、SwitchBotアプリで登録した赤外線リモコン対応家電製品の全てが、iPhoneのホームアプリで使えるわけではないことだ。

 例えば今回、エアコンと照明、さらに扇風機と3つの赤外線リモコン対応デバイスを登録してからMatterと連携させたが、このうち認識されたのはエアコンだけだった。照明と扇風機は、SwitchBotアプリ上では操作できるものの、Matter経由では認識されなかった。

 これはSwitchBotのハブ側の制限によるものだ。SwitchBotアプリへの赤外線リモコン対応家電の登録には、「自動学習」「手動学習」「ボタン学習」の3つの方法があるが、Matterから認識できるのは自動学習か手動学習のどちらかを使った場合のみで、ボタン学習で設定した場合は認識されない。今回の照明と扇風機はいずれもボタン学習で設定したもので、この制限に引っかかったというわけだ。

 この制限は従来のSwitchBot ハブ2と全く同じで、他社のMatter対応スマートリモコン、具体的にはNature Remo Nanoであれば何の問題もなく連携できるだけに、SwitchBotのハブ製品自体に根本的な問題があるのだろうと推測される。この制限がある限り、本製品は少々おすすめしづらいというのが結論だ。

●赤外線リモコン関連のアップデートまでは「待ち」

 以上のように、Matterに対応したことによって、iPhoneの「ホーム」アプリで使えるようになったのは利点だが、あらゆる赤外線リモコン対応家電が使えるわけではないのはネックだ。これが他社のスマートリモコンでも同じ問題があるならまだしも、他社(といっても現状1社だけだが)ではそうした制限がないだけに、おすすめするならばそちら、となるのは当然だろう。

 逆に言うと、スマートリモコンとしての核の部分には致命的な問題はないのだが、それだとMatter非対応の従来モデルでも十分ということになってしまう。ハブ2のON/OFFボタンのような独自の付加価値がない本製品は、アップデートで赤外線リモコン対応家電の制限をなくすことが何よりも急務であり、それまでは「待ち」と考えてよさそうだ。