それがわかれば、あなたは「真のニーズ」を叶えるための最適な治療やケアを提案することができます。

 こういった状況で、「真のニーズ」の重要性をよく理解していなければ、「目の下のクマやしわをできるだけ目立たなくする」というような、顕在ニーズを叶えるためだけの提案をしてしまいます。

 しかし、それはお客様の「真のニーズ」を叶えることにはなりません。

 場合によっては、価値を持たないムダな提案になってしまうでしょう。

 そうではなく、「目の下のクマやしわが気になる」と思った目的をきちんと理解したうえで、「真のニーズ」を叶えるべきなのです。

 他人からすれば、「何であんなサービスが必要なんだろう?」と思うものでも、そのサービスを受けようとする人がいます。

 その裏には、そのサービスを受けて達成したい、その人なりの「目的」があります。「目的」を捉えられるようになると、「これが、相手が求める真のニーズだ!」と特定できます

 そのためには、先ほどの会話例のように、相手に「なぜ、それが欲しいのですか?」という問いかけをしなければなりません。

 お客様が、「〇〇が欲しい」「〇〇したい」と言っているとき、そこで言語化されているのはあくまでも「顕在ニーズ」です。

 大切なのは、その言葉の裏に存在する「ニーズが発生した理由や原因、その背景」を明らかにすることです。

 これを聞き出せれば、「真のニーズ」を確定できます。

 私は、それを「ニーズの裏のニーズ」と呼んでいます。「ニーズの裏のニーズ」を捉える力こそが、「仕事の考え方」を支える土台となります

 今回はセールスにおける例でしたが、仕事の中では、お客様のニーズだけでなく、自分の上司からの依頼、同僚からの依頼、他部署からの依頼など、「依頼」という顕在ニーズの裏にも、「ニーズの裏のニーズ」が潜んでおり、その「ニーズの裏のニーズ」を捉えて仕事ができる人が、「あの人は仕事ができる」と言われるようになるのです。

「ニーズの裏のニーズ」を捉えることができていない人は、仕事のやり直しも多くなります。本当の目的をわかっていないため、目的を叶えるための「必須の仕事」ができず、指示された「表面上の仕事」だけを行ってしまうので、追加の指示を繰り返し受けることになってしまうのです。

【まとめ2-5】
「再現性の塊」は、「ニーズの裏のニーズ」を捉えることができる。ニーズが発生した理由や原因に「ニーズの裏のニーズ」のヒントがある。

<連載ラインアップ>
■第1回 “仕事ができる人”が捉えている顧客の「ニーズの裏のニーズ」とは?(本稿)
■第2回 法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を知るために押さえたい6つの価値とは?
■第3回 人間関係が悪化し、5人の営業が辞めたことで失われた売上を考える意味とは?
■第4回 「社内コミュニケーションをよくしたい」の裏に隠された重要なニーズとは?
■第5回 「絶対に食いっぱぐれることのない」組織になる方法とは?
■第6回 40年前から変わらない、キーエンスの“卓越した成果”を再現し続ける秘訣とは(4月25日公開)

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(田尻 望)