栄養価が高いことで知られるブロッコリーが、改めて注目されている。国民生活に関わる重要な野菜として、2026年度から、「指定野菜」に追加されることが決まったからだ。今後は価格も安定し、さらに消費が増えることになりそうだ。

15品目目の「指定野菜」に

ブロッコリーは、地中海沿岸原産のケールがルーツだ。伊で改良され、世界各地に広まった。β-カロテンとビタミンCが豊富で、含有量はキャベツの4倍といわれている。

朝日新聞によると、過去10年間、国内の多くの野菜は生産量が横ばいか減少している。これに対し、ブロッコリーは増えている。22年の出荷量は15万7100トンで、12年の12万2500トンから3割増。北海道、埼玉、愛知、徳島、香川、長崎などが主な産地となっている。

農林水産省はこのほど、ブロッコリーを26年度から「指定野菜」に加えることを決めた。これにより、市場価格が低落した場合などの生産者への補助が手厚くなる。価格の安定化にもつながり、消費者にもメリットがある。

「指定野菜」は現在、キャベツ、キュウリ、サトイモ、ダイコン、タマネギ、トマト、ナス、ニンジン、ネギ、ハクサイ、ジャガイモ、ピーマン、ホウレンソウ、レタスの14品目。ブロッコリーは15品目目で、1974年のジャガイモ以来の追加だ。

ニンジンやハクサイを抜いた

日本農業新聞によると、ブロッコリーの年間購入量は22年、1世帯(2人以上)当たり4.9キロと10年間で29%増えた。国内の作付面積・出荷量が拡大し、生鮮ブロッコリーの輸入量は23年、2200トンと20年間で97%も減少。国産が市場奪還を果たした。産出額は直近の21年、487億円と10年間で34%増加。指定野菜であるサトイモとの差を広げ、ニンジンとハクサイを抜いた。

同紙によると、ブロッコリーは、他の野菜よりもタンパク質やビタミンCなど栄養成分が多く、近年は抗酸化作用のある成分スルフォラファンも注目され、機能性を売りにした商品展開も目立つという。

有名人にもファンが多い

「野菜の王様」ともいえるほど、栄養分が多いブロッコリー。健康志向の高い有名人にもファンが多い。タレントの内田有紀さんは、2019年4月4日放送のTBS系テレビ番組『櫻井・有吉THE夜会』で、多い時は一日にブロッコリーを2株食べることもある、と明かしている。

大リーグで活躍する大谷翔平選手も、ブロッコリーを常食していることで知られている。2016年12月17日の産経新聞「大前恵の勝つための食育」で、管理栄養士の大前さんは、U-23(23歳以下)ワールドカップ(W杯)の代表合宿で見た大谷選手の食生活を書いている。それによると、大谷選手(当時は日本ハム)は、トマトが苦手で口にできない。しかし、「彼は栄養の知識が高いので、同じように効率良くビタミンCを取れるブロッコリーをお皿に盛っています」。

23年7月27 日の「女性自身」のウェブサイトも、(大谷選手は)「今年のWBCの試合前もサラダとは別に、ブロッコリーを食べていました」というスポーツ紙記者のコメントを紹介している。