「見た目年齢は、顔より髪で決まる」などというが、年齢を重ねても豊かなツヤ髪を保つのは、思いのほかむずかしい。

「女性は更年期以降、白髪や薄毛、パサパサ髪などの髪悩みが増えてきます。原因はおもに2つ考えられます。ひとつは女性ホルモン『エストロゲン』の減少です。エストロゲンには肌や髪に潤いとハリを持たせる重要な役割がありますから、減少すると髪の毛の質が変わってしまいます。もうひとつは髪に栄養を運ぶ毛細血管の血流悪化です。血流が悪くなると、髪を育てて黒く保つための栄養が不足して白髪が増えるといわれています」

そう話すのは、理学療法士で登録者数20万人超の「関節トレーニングチャンネル 笹川ひろひで」を運営する笹川ひろひでさんだ。

ためしに、頭皮のセルフチェックをしてみよう。両手をパーに開き、指先を側頭部の頭皮につけて、頭皮を前後に動かしてみてほしい。

「よく動くなら、頭皮の血流は問題ありません。反対に、頭皮が動きにくいと感じる方は、血流が滞っている可能性があります」(笹川さん、以下同)

血流は改善できるのだろうか?

「よく頭皮マッサージがよいといわれますが、私は体の外側からの刺激より、筋肉を動かしたほうが効果的だと考えています。頭の筋肉につながる首や肩甲骨まわりの筋肉を動かす『招き猫体操』で血流は改善します。髪悩みも解消できますよ」



体操のやり方は上図のとおり。3種類を全部行ってもわずか1分ほどだ。毎日1セット続けよう。

「1つ目の体操は“手押し相撲”のように押し合うことで脇、つまり肩甲骨の外側の筋肉を鍛えます。2つ目は“鳥ポーズ”で肩甲骨まわりの筋肉に直接アプローチします。ただ、腕を体より後ろに引くと、肩を痛めるリスクがあります。腕は体より前側と意識してください。3つ目は、手首の柔軟性を保つための“招き猫”体操です。たとえば手のひらを裏返す動作でも、手首が硬くなると肩や腕全体を使って裏返すようになり、肩が引っ張られ猫背気味になって、肩甲骨を動かしにくくなります。手首の柔軟さが重要なのです」

招き猫体操を続けていると姿勢がよくなり、後ろ姿が若返るうれしい副次効果もあるという。

「実は、これらの体操には見逃せない効果がもうひとつ。肩甲骨まわりのような大きな筋肉を動かすと、“若返りホルモン”と呼ばれる『マイオカイン』が分泌されるのです」

マイオカインとは筋肉から分泌されるホルモンの総称で、数十種類ある。さまざまな働きが注目されるが、髪の毛にツヤやハリを与え、毛量を増やすなどの効果も確認されているという。中高年女性が欲しくてたまらないホルモンといえるだろう。

■更年期を過ぎてから体操を始めても遅くない

「何歳から始めても、改善は可能です。実際、70代の女性が1年ほど招き猫体操を続けた結果、髪の毛にコシが出てきて毛量も増えたとうれしそうに話してくれました。彼女は以前から薄毛に悩んでいて、美容医療などにお金をかけても効果がなかったそうです。『体操で改善できるなんて!』ととても驚いていましたね」

体操以外に注意するべきことはある?

「食事に気をつけてください。“髪にはワカメ”という人が多いのですが、本当に食べてほしいのはタンパク質を多く含む食品です」

髪の主成分は「ケラチン」というタンパク質。ケラチンの合成を促すためにも、食事からタンパク質をたくさん取ろう。

食事と招き猫体操の相乗効果で、髪悩みを解決して、白髪や薄毛、うねりの老け見えから、ふさふさツヤ髪の若見えに大変身だ!