小林製薬(本社・大阪市中央区)の紅麹(べにこうじ)成分入りサプリメント「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人に健康被害が確認された問題で、一般社団法人・日本腎臓学会(東京都文京区)は1日、全国の医師から寄せられた患者47人の症状を公表した。

 問題の発覚を受けて、同学会が3月27日から日本腎臓学会に所属する全国の医師に向けてアンケートで独自調査を行い(2024年4月末まで)、今回、中間報告として取りまとめた。ただ、現時点では最終的な分析には至っていないため、「健康被害との因果関係については、今後科学的な検証が必要だ」としている。

 アンケート対象の患者は30歳〜70歳代で、このうち40歳〜69歳が約9割を占めた。死亡例はなかった。

 服用開始時期は、約4割が1年以上前(2023年3月より前)だが、3か月程度の短期間(開始時期2023年12月〜2024年2月)での発症例もあるという。

 初受診日は2023年11月以降で、2024年1月以降の受診が急増して約8割を占めた。これは、サプリを摂取した人や医師から腎障害などの情報が小林製薬に寄せられた時期とほぼ一致している。

 摂取を中止すると、多くは改善がみられたという。初診時の症状として、半数以上が「倦怠感」や「食欲不振」「尿の異常」「腎機能障害」で、「腹部の不快感」や「体重減少」を訴えた患者も約2割いた。発熱や嘔吐などの例は少なかった。

 47人のうち、34人については腎臓組織を採取して検査する腎生検を実施した。その結果、尿細管(※)の壊死、急性尿細管障害などが判明した。

 この中間報告は「紅麹コレステヘルプ」の服用に伴う症状についてのアンケート調査の解析だが、同社の別のサプリ「ナイシヘルプ+コレステロール」の服用例も1例あったことから、同学会では今後の検討課題としている。

※尿細管〜尿の水分やミネラル分など、体に必要な成分を再吸収して血液中にもどし、不要な成分を尿として排出する器官