2022年の富士24時間レース覇者であり、同年のスーパー耐久ST-Xクラスでも年間王者に輝いたHELM MOTORSPORTS。彼らは2023年の富士24時間でヤン・マーデンボローを起用するが、その理由について聞いた。

 イギリス人ドライバーのマーデンボローは、かつてスーパーGTのGT500クラスやスーパーフォーミュラといった日本国内最高峰カテゴリーに参戦。2021年からの2シーズンは目立ったレース活動ができていなかったが、今年9月には、ゲーマーからリアルレースに転身した彼のキャリアを描いた映画『グランツーリスモ』が公開予定と、話題のドライバーでもある。

 富士24時間で久々のレース復帰を果たすことになるマーデンボロー。今回の参戦は、HELM側からのオファーだったようだ。1号車HELM MOTORSPORTS GTR GT3のBドライバーで、HELM MOTORSPORTSの代表でもある平木湧也は次のように語る。

「アプローチをしたのは僕からです。HELMからオファーを出しました」

「昨年富士24時間で優勝することができて、2連覇を目指していく中で、何か新しい話題を作り、注目されるようなアプローチをしていきたいと思っていました。去年と同じメンバープラス面白いメンバーで戦っていきたいなという中で、色々な候補の方がいましたが、ちょうど映画もやるタイミングですし、(マーデンボローは)面白いかなと思いました」

 そして平木は今年の春先にマーデンボローへのオファーを決断。ニスモ(NMC)の協力を仰ぎ、参戦が実現した。

 現役レーシングドライバーである平木湧也、平木玲次の平木兄弟が『地域密着』を掲げて2020年に発足させたHELM MOTORSPORTS。ただ兄の湧也によると、チームとしてはそれと並行して海外に向けてもアピールをしていきたいという思いがあり、それも外国人ドライバーであるマーデンボローを起用した背景にあるようだ。

「僕たちもどんどん海外に進出していきたい、海外にアピールしていきたいという考えがあります。日本人だけのチームではなく、海外のドライバーも受け入れられるという部分も見せたかったので、去年はショウン(トン)を乗せて、今年は彼に加えてヤンを乗せました」

「将来的にはGTワールドチャレンジ・アジアのジャパンカップなどにも参戦したいです。今年も参戦するために準備をしていたのですが、なかなか条件が合いませんでした。僕たちとしてもS耐をやりながらもうひとつのシリーズを戦うというのは、スケジュール的にも難しかったです」

「ただ、そういった動きがあるのは確かです。もう少し色々整えて……という感じですかね」

 2年のブランクがあるマーデンボローの走りについても「僕が評価する立場ではないですが、パフォーマンスは申し分ないと思っています」とのこと。連覇を目指すHELM MOTORSPORTSの“新助っ人”の活躍に注目だ。