レットブルは、モナコGPで空力パフォーマンスにおいて大きな役割を果たすフロア面が公開されてしまったものの、ライバルチームがそれを真似することは難しいと考えている。

 モナコでは、コース上で止まったマシンをマーシャルが回収する際、トラックではなくクレーンでコース脇まで吊り上げられることが多く、クラッシュやトラブルが起こると、普段は見えないマシンの下面が丸見えになることがある。

 今年、その憂き目にあったのがメルセデスとレッドブル。ルイス・ハミルトンがフリー走行3回目でメルセデス『W14』を壊し、そのフロアが公開されたわずか数時間後、予選でレッドブルのセルジオ・ペレスが『RB19』をウォールにヒットさせた。結果として、今季最速のマシンのパフォーマンスの一因であるフロアは白日の下に晒されることとなり、ライバルチームはRB19の強さの秘訣を探ろうと、現場でカメラマンが抑えた秘蔵写真を穴が開くほど見ていることだろう。

 しかし、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、RB19の裏側が明らかとなったとしても、ライバルチームがパフォーマンスを再現することは難しいと考えている。

 motorsport.comの独占インタビューに応じたマルコは、レッドブルのフロアが晒された状況ついて、次のように語っている。

「もちろん、我々はその状況を好まない」

「フロアはとても重要だが、他のパーツや基本的なコンセプトがなければ、そう簡単にいかない」

「メルセデスのマシンは、もっと長い間、宙に浮いていた。でも、我々のマシンほど、メルセデスのフロアに興味を持つ人はいなかったと思う」

 マルコは、フロアはフロントウイングやディフューザーといった他の空力アイテムと連動しなければ意味はないと考えている。

「フロアだけではないのだ」と彼は言う。

「フロントウイングやリヤ周りと連動しなければならない。全てが連動している。フロアだけよりも、ずっと複雑なんだ」

 また、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、フロアの写真は一般的には新しいモノかもしれないが、ライバルチームは既にスパイ写真を持っているだろうと考えている。

「人のスカートの中を覗くなんて、とても失礼だ」

 ホーナーはRB19のフロア写真についてそう冗談を放った。

「パドックやその周辺では、フロアの写真が撮られる。チームはスパイカメラマンを雇って、パーツや組み立て前のマシンの写真を撮る。それが一般的なやり方だ」

「だから、フロアの写真が撮られるのは初めてだとは思わなかった。クレーンで吊るされたのは初めてだろうが、どのチームも情報を得るために努力しているのだ」