岡山国際サーキットで行なわれたスーパーGT開幕戦で、38号車KeePer CERUMO GR Supraは4位でフィニッシュした。セルモにとって岡山は相性の良いサーキットであり、昨年は5位、一昨年も4位に入ってはいるのだが、ドライバーの石浦宏明がレース後プレスリリースに「チームが良い方向に変わっているのを感じている」とコメントしたように、チームは近年の低迷から脱する手応えを掴みつつあるようだ。

 かつては立川祐路と石浦のベテランコンビで毎年のようにランキング上位に食い込んでいたセルモの38号車だったが、2019年の富士戦を最後に勝利から遠ざかっており、2020年以降のランキングは10位、12位、13位、13位と下位に沈んでいる。

 そんなセルモは今季、大きく体制を変更した。昨年限りでステアリングを置いた立川が監督に就任し、後任のドライバーには若手の大湯都史樹を起用。チーフエンジニアもセルブスジャパン出身の若手、岡島慎太郎エンジニアとなり、さらにはメインスポンサーもZENTからKeePerに変わるなど、まさに心機一転の体制となった。

 その初陣となった開幕戦は、順調な船出ではなかった。午前の練習走行でパワーステアリング関連のパーツに不具合があり、十分な走行ができなかったのだ。ただその中でも予選に向けたセットアップ変更はうまくハマり、大湯がQ1で2番手タイムを記録。「本当はもっと細かく(セットアップを)詰めたかったのですが、ガラッと変えた割には十分良い結果が出た」と大湯もポジティブであった。

 石浦が走るQ2に向けてのセットアップ変更は、「さらに攻めたものにしたのですが、それは少しやりすぎたかもしれない」と石浦が言うように、Q2ではややタイムが伸びず7番手。しかし両セッションの合算タイムにより、38号車は4番グリッドからレースをスタートすることになった。

 決勝では大湯がスタートスティントを担当。コース幅が狭く追い抜きが容易ではない岡山だが、大湯はGT300クラスの混戦もうまく利用して100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTをオーバーテイク。表彰台圏内の3番手に上がってピットに向かった。

 ただ、100号車STANLEYと同一周回に入ったピットストップで、タイヤ交換作業にミスがあり、38号車は再び100号車の後ろに。後半スティントを担当した石浦は、途中ボンネットが浮き上がってしまうトラブルがありながらも後続を抑えきり、4位でフィニッシュした。

 石浦はプレスリリースの中で次のように述べた。

「レース終盤からグリップが良くなり、前の2台と差が詰まることもあったのですが、GT300 との巡り合わせが悪く追いつききれなかったので、その点は悔しかったですね。とはいえここ数年、ノーウエイトのレースで上位で戦えるパフォーマンスはなかなか出せていなかったので、今後がすごく楽しみなレースとなりました」

「大きな一歩ですし、チーム全員の目標値が高くなると思います。今季大湯選手も加わり、立川監督のアドバイスも含めチームが良い方向に変わっているのを感じています。ポジティブな週末になりました」

 また大湯も予選後のインタビューの中で、自身がチームに加入したことでポジティブな勢いを与えたいとして、次のように意気込んだ。

「移籍してきたのは僕だけではありませんが、チームから見てもみんなから見ても『大湯が移籍してきて変わったな』と思われるようなものを見せたいです」

「それが結局は勢いに繋がると思うので、最終的にランキング争い(タイトル争い)ができればいいなと思っています。目標が低いように感じるかもしれませんが、去年のセルモからすると大大大ジャンプですし、そこに辿り着くことも容易なことではありません。チームを低迷期から脱出させられるように頑張ります」