MotoGPは、6月14〜16日に初開催される予定だったカザフスタンGPが、洪水の影響を受けて開催延期となることを発表した。

 カザフスタンGPは昨年7月、カザフスタン最大の都市アルマトイ近郊に新設されたソコル・インターナショナル・レーストラックで初開催される予定だった。

 しかしサーキットの準備が整っていなかったため、このイベントは中止となり、2023年の開催は見送られた。

 そして今季、カザフスタンGPはようやく初開催を迎える予定だったものの、5月3日にMotoGPはここ数週間、該当地域に影響を及ぼしている洪水による緊急事態のため、開催を延期することを発表した。

 この地域では過去80年間で最悪の洪水と言われるウラル川の氾濫が起きており、高温と大雨により雪と氷が急速に解けた結果、4月に堤防が決壊してしまった。

 地元メディアの報道によると、5月1日の段階で4万人以上の避難民が自宅に戻り、撤去作業が続けられているという。

 FIMは次のように声明を発表した。

「前例のない気象条件により中央アジア全域で洪水が発生し、カザフスタンでは国家的緊急事態が発生し、住民の多くが避難している」

「MotoGPは、カザフスタン全土で被災した何万人もの人々を支援するために活動している当局やサービスに、新たな負担を強いるようなことはしない」

「そのため、ソコル・インターナショナル・レーストラックでは、以前に発表された日程でMotoGPを開催しない」

「MotoGPは最優先事項として、カザフスタンの人々と中央アジアの洪水で被害を受けたすべての人々に哀悼と支援を送る。被災した国、地域、コミュニティが一刻も早く回復することを願っている」

 カザフスタンが当初のカレンダーから外れたことで、MotoGPの開催日程には2つの大きな空白が生じる。

 6月2日にムジェロでイタリアGPが開催された後、MotoGPは6月28〜30日のオランダGPまでレースを行なわない。

 その1週間後にはザクセンリンクでドイツGPが開催されるが、MotoGPは8月2〜4日のイギリスGPまで3週間の夏休みに入る。

 そのため、MotoGPは6月の最終週から9週間でわずか3戦というスケジュールに直面することになる。

 2024年のMotoGPカレンダーでもうひとつ疑問符がつくのは、昨年初めて開催されたインドGPの行方だ。9月20〜22日の開催が予定されているが、まだチケットが販売されていないのだ。昨年もレース直前になってのチケット発売だったが、初開催とは事情も異なるだろう。

 またMotoGPは今季すでに、1レースのキャンセルを余儀なくされている。政府の支出削減の影響で、4月のアルゼンチンGPが開催できなかったためだ。

 MotoGPは最初に2024年のカレンダー発表を行なった際、ハンガリーのバラトン・パークがホモロゲーション取得を条件にリザーブ会場として機能することを確認していた。

 しかし今季後半のスケジュールはタイトなため、カザフスタンGPを開催することも、代替開催地でのレースを追加するのも容易なことではないだろう。