ここ数年、MotoGPで苦戦が続いているホンダは、新しいコンセッション(優遇措置)制度の恩恵を受けながらも、まだ大きな進歩を見せられおらず、まだ明確な方向性を見出せていないようだ。

 今週末の第5戦フランスGPを前に、ホンダはコンストラクターズランキングで最下位に沈んでいる。

 ホンダは、テストライダーのステファン・ブラドルが開発を率いる新しい”ラボバイク”をテストしているが、ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ)やヨハン・ザルコ(LCRホンダ)はコース上でのその挙動に不満を持っている。ザルコは先日のヘレステストでラボバイクをテストしたものの、途中から以前の仕様のバイクに戻したほどだ。

 ホンダの近況について、チームマネージャーのアルベルト・プーチは、チームは開発の方向性を見極めている段階だと語った。

「進むべき方向性を理解できれば、一歩前進することができる」

「もちろん、発見したことの多くはそのまま使えるものではない。おそらく次のグランプリでは使えないだろうが、他のパーツを準備し始めることはできる」

「今やっていることを続けなければならない。我々は懸命に働いている。ホンダは眠っていない。ただひとつ確かなことは、私たちが望み、求めている方向性をまだ見出せていないということだ」

 プーチのこうしたコメントは、ヘレステストでのミルの意見とは対照的だ。ミルはプライベートテストでラボバイクに乗り、不満を持っていたにも関わらず、ホンダがコンセプトの「明確な方向性」を見つけたと感じたという。

 またプーチは、ホンダがグリッド上位に返り咲くために手をこまねいているのではなく、4人のライダー全員が新しいパーツのテストに参加していることを明らかにした。

 今シーズンはサテライトチームのLCRとも緊密に連携しており、ザルコと中上貴晶がバイク開発に携わっている。

「ここ数ヵ月で言ってきたことは、多かれ少なかれ今にも当てはまる。我々はたくさんのモノを試しているし、解決策を探っている。我々はまだ、自分たちがどうなりたいか明確になっていないからだ」とプーチは言う。

「我々には4人のライダーがいて、彼ら全員を使っていろいろなことを試している。それぞれ違ったものを試していて、可能な限り最高のコンビネーションを見つけようとしている」

「ステファン・ブラドルはバイクをテストし、多くのデータを集めた。感覚的には良かった。悪くはない」

「完璧ではないし、改善すべき点もある。具体的なコメントはできないが、ヘレステストは非常に重要だったと思う。4人のドライバー全員が様々なこと、様々なコンビネーションを試しており、最終的には重要な結論が得られるだろう」