MotoGPは先日、エンジンの850cc化やエアロダイナミクスの規制強化を含む、2027年から導入される新しいテクニカルレギュレーションを発表した。これによって競争環境が大きく変わるため、勢力図に変化が生じることも期待され、苦戦中の日本メーカーが浮上してくるかどうかも注目される。

 しかしレプソル・ホンダのライダーであるルカ・マリーニは、ホンダとしては2027年という先のことに目を向けるべきではなく、まずは目の前のことに集中する必要があると主張した。

 ホンダは今シーズンも大いに苦戦。ライダーたちは2024年マシンコンセプトでホンダが間違った方向に進んでしまっていると考えており、今季ここまでの4戦で合計13ポイントしか獲得できていないことからも、それは裏付けられている。

 それだけに、2027年からの新規則が浮上のきっかけになることも考えられる。ただマリーニは、2027年はまだ遠い先の話であり、ホンダとしては現状を改善するように取り組むことが大事だと語った。

「2027年は遠い。遠すぎるよ」

 ホンダが新レギュレーションに集中すべきかどうかについて訊かれた際、マリーニはそう答えた。

「僕らはこの”今”に取り組む必要がある。この数年間で得られる知識が、将来にもたくさん役立つだろうからね」

 マリーニは今シーズンからホンダ陣営に加入したが、苦しい状況が続いている。しかし、ホンダとの関係は強固だと語る。

「このパフォーマンスは、正直期待しているようなものではなかった。皆もこれは予想していなかった」

「ホンダが今シーズン序盤から証明したかったはずのこの新しいプロジェクトは上手くいっていないけど、誰もそうなるとは思っていなかった」

「今、僕たちはフィードバックから全てを少しずつ再構築しているけれど、トップへ行くにはもう少し時間が必要だ」

「問題は昨年よりもさらに遅れたスタートになってしまったため、時間を犠牲にしてしまっているということだ。でも予想していなかったことなんだ」

「ただ(問題に)取り組んでくれている皆はとても優秀だし、僕たちとエンジニアの関係は素晴らしいんだ」

「彼らと仕事ができてとてもハッピーだ。いい関係を築けている。それでも、時間は少し必要だ」

 なおホンダの将来という点では、マリーニとヨハン・ザルコが2025年までの契約を結んでいる一方で、ジョアン・ミルは今シーズンで一旦契約が満期となる。

 2025年以降についてミルは今、検討を進めていると語っている。

「いい質問だけど、僕も答えられない。なぜなら選択肢は机上に上がっているけど、僕がどうしたいのか、それが本当に分かっていないんだ」とミルは言う。

「それが実際のところなんだ。自分の将来のために良い決断を下すには、もう少し時間が欲しい」