F1マイアミGPでは、マクラーレンのランド・ノリスがF1初優勝を挙げた。そしてこの勝利がチームメイトのオスカー・ピアストリにとっても追い風になるとチーム代表のアンドレア・ステラは語った。

 ピアストリは決勝レースで抜群のスタートを決め、セルジオ・ペレス(レッドブル)がターン1でオーバーシュートしたこともあり、3台を抜いて3番手に浮上した。

 ノリスとは異なりマイアミでのアップデートを全て受け取っていた訳ではなかったが、ピアストリは序盤から力強いペースを見せて、5周目にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)を交わして、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に次ぐ2番手に浮上した。

 しかしレース中盤にセーフティカーが出動すると、それまでピットストップを遅らせていたノリスがフリーストップの機会を得て首位に。レース再開後は2番手フェルスタッペン以下を突き放してノリスが優勝した。

 一方でピアストリは4番手でレース後半を迎えた。フェラーリのカルロス・サインツJr.から攻め立てられる形となり、バトルの最中2台は接触。ピアストリはフロントウイング破損によってピットインを余儀なくされ、13位フィニッシュに終わった。なお、サインツJr.にはレース後5秒のタイム加算が科された。

 ピアストリのレースは散々な結果に終わったが、ステラ代表は、ノリスと同様のパッケージが投入されるエミリア・ロマーニャGPを前に、ピアストリが“それほど速くない”MCL38でノリスと上位を戦えたことから勇気づけられるだろうと語った。

「オスカーはこの週末を終えて、ドライバーとしての強みをより意識するようになると思う」とステラ代表は言う。

「彼がフルパッケージではないことを考えれば、1周での速さがどれだけのモノかは既に分かっていた。予選でのランドとの差は、彼が持っていたパッケージの差よりも小さかった」

 そしてステラ代表は次のように続けた。

「レースでの彼のパフォーマンスは、またしても非常に力強かった。ランドは、オスカーがフェラーリを抜くところを見て『おお、今回僕らは戦える位置にいるんだ』と感じたそうだ。ランド自身にとってもそれは気づきだった」

「特にレースペースという点で、彼はこういった確信を持ってこの週末を迎えることができた。これは日本GPや中国GPの状況を見て我々が改善したいと思っていたことだ。私としては、彼がとても強い位置にいると思う」

 またステラ代表は、ノリスがフロアやサイドポンツーンを含むアップデートパッケージ全てを優先的に受けると告げられた際も、騒ぎ立てなかったピアストリを賞賛した。

「彼がいかに強力なチームプレイヤーであるかを改めて証明してくれた」とステラ代表は言う。

「私が『オスカー、サイドポンツーンとフロアはランドに渡すよ』と言った時、彼は心の底では喜んでいなかったと思う。しかし、彼がこの決断を難しくしたり、理由を尋ねたりすることは一切なかった。彼はその理由を理解し、オスカーの周りの関係者も同様に、すぐ協力してくれた」