北村匠海 撮影/廣瀬靖士

「お話をいただき、主演の長谷川博己さんと“また出会い直せる!”とうれしかったです」

ドラマ『アンチヒーロー』で赤峰役を好演中

 有罪の証拠がそろっていても、無罪を勝ち取る。たとえ殺人犯であろうとも……。ダークな弁護士・明墨正樹(長谷川)のもとで働く弁護士・赤峰柊斗を演じているのは北村匠海(26)。

「『仰げば尊し』('16年)や『グッドワイフ』('19年)など、日曜劇場にはお世話になっていて。そして『VIVANT』('23年)など進化し続けている枠だと思います。力になれることがあればと思って参加しています」

 4話(5月5日放送)で赤峰は急激な成長を遂げる。

「1話から3話までは、視聴者の方の目線にすごく近かったと思います。おそらく、多くの方が思う正義をちゃんと持っていて、それに対してまっすぐで。明墨法律事務所に入って、たぶん、いちばん考えて、迷って、立ち止まって、歯向かっていた存在だったと思います。

 4話を経て明墨法律事務所のパーツのひとつとして、ちゃんと明墨先生に仕えるようになっていく。ただ、明墨先生のやっていることに納得というか、“本当の正義”とはまだ思えない。5話以降、赤峰のそんな側面も見えてくると思います」

 赤峰への共感は、ある程度あると話す。

「僕個人は、持っている正義感を押しつけることは正義ではないと思う。正義感を持ったうえでどう行動するのか、それが正義だと思うところもあって。

 3話までの赤峰は“君の正義はわかるけど、それってエゴだよね?”と思いながらも、自問自答するという向き合い方をしていたと思います」

 弁護側、検察側。同じものに対する見方は真逆となる。

「アニメなどでも正義と悪という形で分かれて戦っていたりしますが、どちらにも正義があって、どっちの視点で見るかによって悪の対象は変わってくると思います。

『アンチヒーロー』にも、いろんな正義があって。大義とか、名分とか。正義がいろんなところでぶつかり合うからこそ、誰かにとってはアンチ。すごく多面的なんです。

 これからいろんなことが巻き起こり、少しずつ“本当の正義”“本当の悪”がメッセージとして表に出始めてくると思います。1話ごとにギアは入りっぱなしなので、楽しみにしていただけたら」