大谷翔平がMLB史上初となる、2度目の満票MVPを手土産に強豪ドジャースへ移籍したことで、2024年は遂にポストシーズンで、MLB最高選手の勇姿を見られる可能性が高くなった。

そして、ムーキー・ベッツやフレディ・フリーマンら、スター選手の居並ぶラインアップで打者に専念する大谷が、どのような個人成績を残すのかは、非常に興味深いところである。

単純に考えれば、昨季はケガにより最後の1ヶ月はプレーしておらず、今季は投手としてプレーする部分の負担がゼロとなることに加え、これまでと比較すると味方打線のクオリティが格段に高くなる。

そのことから、相手チームが大谷と、まともに勝負せざるを得ない状況が増加する可能性が極めて高いため、ア・リーグ本塁打王を獲得した昨季の打撃成績さえ上回る数字をたたき出すのではないかと思えるが、AIは2024年の打者・大谷をどのように予測しているのだろうか。

まず、AIによる今季の予想の比較対象として、打者・大谷が2023年に残した成績を振り返っておこう。

◆2023シーズン成績
599打席 497打数 151安打 325塁打
73単打 26二塁打 8三塁打 44本塁打
102得点 95打点 20盗塁 91四球 143三振 3死球
打率.304/出塁率.412/長打率.654 OPS .1.066

本塁打に加え、塁打数、出塁率、長打率、OPSもリーグトップの数字であり、これにエンジェルスのエースとして、2桁勝利を挙げた投手成績もついてくるのだから、アンリアルな話である。

ちなみに、これまでフルタイムの指名打者で、昨季の大谷がマークしたOPSを上回ったのは、1995年のエドガー・マルティネス(1.107)と2006年のトラビス・ハフナー(1.097)の2人のみである。

また、リーグをまたいでの2年連続本塁打王はこれまで誰も達成しておらず、仮に大谷が今季ナ・リーグの本塁打王に輝くと、史上初めてこれを達成することとなる。打者専念により、こうした快挙の達成も期待したいところだが、AIの予想する2024年の大谷の成績は次の通りとなっている。

◆2024シーズンAIの予測成績
629打席 540打数 144.6安打 296.2塁打
74.6単打 27.1二塁打 4.3三塁打 38.6本塁打
100.3得点 109.2打点 19.3盗塁 81.2四球 156.2三振 5.3死球
打率.268/出塁率.367/長打率.548 OPS .915

打席数と打数については、リアル二刀流の所謂「大谷ルール」が導入された2021年以降、大谷が1シーズンフルにプレーした2021年(158試合に出場)と2022年(157試合に出場)はそれぞれ639打席/537打数、666打席/586打数となっているため、おそらく今季は150試合前後に出場することを想定しているのだろう。

前述の理由により、四球が減少するのは想定通りだが、打撃成績が軒並み落ちているのは気がかりなところである。確かに三塁打に関しては、新たに本拠地となったドジャースタジアムの方が、昨年までのエンジェルスタジアムより三塁打の出にくいスタジアムである点を考慮すると頷ける。

しかし、スタットキャストによる過去3シーズンのパークファクターを見てみると、ドジャースタジアムは全体的な指数としては打者と投手に公平な球場ながら、本塁打はMLB全体で2番目に出やすい指数となっており、そう考えると、AI予想の本塁打数、長打率、そしてOPSは少し控えめな気がする。38.6本塁打で控えめと言う時点で、かなりハイレベルではあるわけだが。

なお、『MLB.com』は今季、大谷がMLBトップの122打点をマークすると予想。一方、現地スポーツ専門サイトの『ジ・アスレチック』は、「ドジャースの選手層の厚さ、そして一方的な試合展開が多発するとの予想から、オオタニの打数が幾分犠牲になるかもしれない」としている。

ちなみに、同サイトの予想する2024年の大谷の本塁打数は38.2本、そして『ファングラフス』の採用する複数の予想システムも38から40本塁打の範囲に収まっている。