キム・スヒョンとキム・ジウォンが素晴らしいラブロマンスを紡いでいる『涙の女王』。
Netflixでの視聴を通して日本でも大人気なのだが、このドラマは緊迫した場面とコミカルなシーンがほどよく調和した展開で終盤になった。そして、いよいよクライマックスで見えてきたのが、「失われた記憶」をどのように取り戻すかというテーマ性だ。

ホン・ヘイン(キム・ジウォン)は脳腫瘍の手術を受けるためにペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)と一緒にドイツに向かった。しかし、手術の直前にヘインはヒョヌから「手術を受けるとこれまでの記憶を失う可能性が高い」と告げられてしまう。
大ショックを受けるヘイン。ヒョヌとの数々の記憶を失うことは死ぬことよりも辛かった。それゆえ、ヘインは手術を敢然と拒否した。それは、ヒョヌにも予測できたことだった。
必死に説得するヒョヌは「手術が成功したら2人でまた新しい記憶を作って行こう」とヘインを諭し、そのための準備を怠らなかった。こうした努力が実って、ヘインは気持ちを変えて手術を受けることになった。
ところが、悪役ユン・ウンソン(パク・ソンフン)の陰謀によって、ヒョヌは手術から目覚めた際にヘインのそばにいることができなかった。それどころか、殺人事件の容疑者にされて国際逮捕される始末だった。本当に、ユン・ウンソンは悪魔のような男だ。

ヘインとヒョヌが生きた証

しかし、このままで終わるはずがない。数々の難局を切り抜けてきたヒョヌが自らの疑惑を晴らして、再びヘインに寄り添っていく……そんな展開をみんなが望んでいる。
その際に重要なのは、2人が一緒になって「失われた記憶」を取り戻すことだ。なぜなら、ヘインとヒョヌの記憶の数々はすべて2人が生きた証だからだ。それがもう一度蘇ってほしい。結局、このドラマは「記憶の贈り物」をめぐる素敵なファンタジーなのである。
果たして、その結末は?
眠れない夜を過ごす視聴者がとても多くなりそうだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)