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 1年前にはブンデスリーガ復帰への歓喜に沸いていた、FCシャルケ04。特に2021年の降格時からルーヴェン・シュレーダーSDが、見事にチーム作りを行い上昇気流へと導く手腕を発揮したことが大きかったのだが、しかしながら1年後の失意を迎える予兆はこの時から見られていた。昨夏にシャルケでは不必要なまでにチームの解体を敢行し、特にシュレーダー氏が下した最も懐疑的な判断だったのが、フュルト時代の盟友フランク・クラマー監督を招聘したことだろう。特別に自身の右腕を敢えて帯同させず、昇格を暫定監督として支えたマイク・ビュスケンス氏との繋がりを保つという構図は、しかしながら早々に失敗を迎える結果となる。

 そこでシャルケは10月にトーマス・ライス監督を招聘、間も無くしてシュレーダーSDは再びシャルケを後にすることとなった。なおライス監督との共生は当初から良好なものであり、冬季休暇時期にはライス監督自身が1部残留を目標にしていることを高らかに宣言。そして夏の失敗を取り戻すべく移籍市場でも打って出たものの、しかしながらそこでインパクトを残せたのは、モリッツ・イェンツのみ。しかも負傷離脱を余儀なくされ、ミヒャエル・フライは闘争心で重要性を示したが無得点で、スカルケとウロネンは不振。バランタは「イエローカード中毒」状態に陥り、ニクラス・タウアーに至っては1分もプレーできていない。

 それでもライス監督の手腕によって後半戦での風向きが変わっていたことは確かで、例えば後半戦から積極登用した若手選手、上月壮一郎は活躍をみせたが負傷により長期離脱、ラルフ・フェアマンへの先発GK交代も正しい判断のうちの1つだったが、こちらもまた負傷に泣かされた。しかし最終節のライプツィヒ戦で、CL常連を相手に2−2と奮闘をみせたその姿は、来季への期待を感じさせるものだったといえよう。それはゲルゼンキルヘンの観客席の雰囲気からも伝わるものだ。確かに降格に伴い人事面の予算も半減される中で、即座の昇格を約束できる状況ではないだろう。それでもライス監督は正しい人選であり、きっと開幕から率いていれば降格することはなかった。そして首脳陣も2年前より明らかに整然としていることもプラス材料といえる。