神戸市長田区のラーメン店で昨年4月、特定抗争指定暴力団山口組系傘下組織組長の男性店主が射殺された事件で、兵庫県警長田署捜査本部は、長野、茨城両県であった2件の発砲事件で逮捕された指定暴力団絆会幹部の金沢成樹(しげゆき)こと金成行(しげゆき)容疑者が関与した疑いが強まったとして、店主を殺害した容疑で逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。

 捜査本部によると、事件は昨年4月22日午前に発生した。同区東尻池町9のラーメン店で、余嶋学組長=当時(57)=が撃たれて死亡。司法解剖で、余嶋組長の頭部から銃弾が確認された。店内に薬きょうが落ちていたが、拳銃は見つからなかった。

 捜査関係者によると、周辺の防犯カメラの映像を分析したところ、事件発生の直後に店を出た人物が車で逃走した疑いが浮上。捜査本部は、カメラのリレー捜査に加え、この人物が乗ったとされる複数の車を押収し、車内の残物を調べるなどした。その結果、金容疑者が関与した疑いが強いと判断したという。

 金容疑者は、長野県宮田村で2020年9月、暴力団関係者の男性に発砲し、重傷を負わせた疑いで今年2月に逮捕され、殺人未遂などの罪で起訴された。その後、22年1月にも水戸市で別の暴力団関係者を射殺した疑いが強まり、今年4月に茨城県警が殺人などの容疑で逮捕した。兵庫県警は、茨城での捜査にめどが付き次第、金容疑者を移送して本格的に調べる方針。