店主の中原詳介さんにインタビュー

庭_庭とブンガク

なぜこのタイミングで店名を変えて改装したのか。

カフェの店主 中原詳介さんに話を聞きました。

インタビューは2022年10月の初回取材時におこなった内容を掲載しています。

店名を変えた理由

──店のオープンは2017年ですが、なぜこのタイミングで店名を変えたのですか。

中原(敬称略)──

店名を変えた一番のきっかけは、デザイナーの桑田靖久(くわだ やすひさ)さんに店のロゴ作成をお願いしたかったんです。

そのかたは、自分のペースで制作を進めるかたで。

2017年のカフェオープン時はスケジュールが立て込んでいましたし、桑田さんにロゴをお願いしても間に合わないだろうなと諦めました。

ロゴができるのをこちらが待つようにしたかったんですよ。

中原さん
中原さん

桑田さんの作るものがすごく好きなんです。

オープンの時は見送ったんですけど、お店をやっているうちに、やはり桑田さんにお願いしたい気持ちが強まって。

そこで今回ロゴ作成をお願いすることに。

ロゴしか頼んでないんですけど、デザートのお皿やメニュー、ポスターまで作ってくれました。

桑田さん作の皿。本を表現しています
桑田さん作の皿。本を表現しています

──中原さんと桑田さんの関係は?

中原──

僕が福山市のバーで働いているときに知り合いました。

桑田さんが酔っぱらっているときに書く落書きが好きで。

桑田さんはカチッとしたものや手書き風のラフなものまで描かれます。

店のロゴのために、できるだけ落書き風のデザインをたくさん書いてもらって、そこから選ぶようにしたんです。

店のロゴに使われている椿の絵
店のロゴに使われている椿の絵

2008年に独立して美観地区で、三輪車でケーキを売っていたときがあるんです。

そのときも桑田さんにロゴをデザインしてもらっていて。

「まぜこぜ菓子店」の名で菓子を売っていたときのデザイン
まぜこぜ菓子店の名で菓子を売っていたときのデザイン

あの時代はまだSNSがなくて、どう宣伝していいか分からず四苦八苦しながらブログを書いていました。

──なぜ店名をcafe「庭とブンガク」に?

中原──

本が好きなのと、この建物が昭和の古い家屋と考えたときに、昭和とブンガクって合っているなぁと。

漢字で文学と書くとかっちりしていますよね。

文を楽しむ」のか「文を学ぶ」のか、どちらの意味にも取れるようにしたくてカタカナに。

どちらかといえば「文を楽しむ」なんですけどね。

改装して店での過ごしかたが変わった

──改装は、店名を変えるのに合わせてですか?

中原──

以前、お子さま連れの受け入れをしていたときには、物を倒して子どもが怪我したら大変なので、置かないようにしていました。

子どもがいると大きい本棚は危ないじゃないですか。

お子さま連れの受け入れをやめたときに、いろいろ物を置いても大丈夫だなと。

それで本棚を置きました。

本棚_庭とブンガク

──本は私物ですか?

中原──

はい、私物ですね。

本のジャンルはさまざまですが、基本的には哲学的なものが好きなんです。

司馬遼太郎、太宰治、宮沢賢治を読んでも物語には目的と結果があって、心の在りかたを、と言えば哲学的になって。

ひとの生きかたが書かれたものが好きですね。

なので歴史ものも好きです。

漫画なら気軽に読めるかなと、こちらも置いています。

本タイトル_庭とブンガク

──庭が見えるカウンター席ができましたね。

中原──

カウンター席を作ってよかったです。

お客様に好評で。

ひとり客でも来やすくなりました。

実際、僕もひとりでお店に行くことが多かったので、そういう店があるのは大切だなぁと。

カウンター席2_庭とブンガク

庭も改装中で、これからまだまだ変わっていく予定です。

梅を1本、もみじを2本、苔を植えて。

なにごとも長い目でという感じでのんびり変えています。

電球をつけて、夜でも少し庭が見えるようになりました。

店内からの眺め
店内からの眺め

お米を味わうメニューに

──メニューも以前と変わりましたね。

中原──

ステーキ丼、ロコモコ丼など、前は丼ぶりが多かったんです。

定食に変えた理由が、お客さんにもっと純粋にお米を楽しんでほしいと思って。

倉敷米肥さんのお米を使っているんですけど、とにかくていねいに保管をされています。

保管をするときに温度管理をすると、お米が劣化せず、味が落ちないんです。

米_庭とブンガク

当店のために、独自にお米をブレンドしてくれています。

そのお米を楽しんでいただきたいから、おかずと分けたほうがいいかなと。

定食にするにあたり、満足度が高まるようにおかずを増やしました。

ゆったりと過ごせる店にしたい

中原──

倉敷アフタヌーンティーもおすすめです。夏と冬のイベント期間中に参加しています。

時間的にも空間的にもぜいたくに過ごしてもらえたら。

画像提供:cafe「庭とブンガク」(2024冬期の倉敷アフタヌーンティー)
画像提供:cafe「庭とブンガク」(2024冬期の倉敷アフタヌーンティー)

きっとカフェ好きなかたは、お茶を飲んでゆっくり過ごしたいじゃないですか。

カフェをする側もそのように過ごしてほしいと思っています。

でもそれだけではお店をやっていけないのでランチをしていますし、コロナ禍になって、テイクアウトに力をいれるようにも。

店の価値やブランドが高まっていると、インターネット販売で売れると思います。

店内飲食以外でも販売できると、僕の理想の、ゆったりとお茶だけ飲む店でも経営が成り立つのかと。

今後インターネット販売を考えているのでお楽しみに。

おわりに

日本庭園と本に囲まれたcafe「庭とブンガク」。

店名もロゴもメニューも内装も変わって、よりゆったり過ごしやすいカフェになりました。

クラッシック音楽に耳を傾け、庭を眺めながら好きな本を手に取って、思い思いの時間を過ごすのも良さそうです。

ランチに、スイーツを食べに、アフタヌーンティーしに、cafe「庭とブンガク」へ行ってみませんか。

著者:倉敷そだち