うっかりガソリンが減っていることに気づかずクルマを運転していると、メーターパネル内の「燃料残量警告灯」が点灯してしまうときがあります。この警告灯が点灯した際、クルマはあとどれくらいの距離を走ることができるのでしょうか。

遠出の際には「燃料残量警告灯」に要注意

 祝日が続くゴールデンウィークには、自家用車やレンタカーを使用して行楽に出かける人も多いことでしょう。
 
 普段クルマの運転をしない人や、レンタカーなどの普段とは違うクルマを運転していると、うっかりガソリンが減っていることに気づかずメーターパネル内の「燃料残量警告灯」が点灯してしまうときがあります。
 
 もしもこの警告灯が点灯した場合、クルマはあとどれくらいの距離を走ることができるのでしょうか。

 じつは燃料残量警告灯を含むメーターパネル内の警告灯は、国際規格(ISO)によってそれぞれの「重大度」ごとに色分けがなされています。

 赤色の警告灯は「危険(直ちに運転をやめ、安全な場所に停めて確認をしなければならない状態)」、黄色の警告灯は「注意(即運転を停止しなければならないほどではないが速やかに対応が求められる状態)」を示しており、つまり黄色く点灯する燃料残量警告灯は即時運転をストップする必要はないものの、速やかに対処しなければいけない状態にあたります。

 ではまず、この燃料警告灯が点灯したときの燃料の残量や走行可能な距離はどれくらいあるのでしょうか。

 国産自動車メーカーのディーラースタッフに話を聞いたところ、「警告灯の点灯後の走行可能距離は車種によって異なるため一概には言えないものの、一般的には少なくとも50km程度は走行できる」と話します。

 多くの車種ではガソリン残量が5リッターから10リッターほどになると警告灯が点くといわれ、それを航続距離に落とし込んだ場合、よほど走行状態が悪くない限りは前述の50km程度は走行できるというわけです。

 しかしこれはあくまでも平均的な値での話。車種や走行状況、道路環境にも左右され、同じクルマでも乗車人数や速度、メンテナンス状況や道路の勾配角度など様々な要因によっても変化するため、必ずしも「50kmは走れる」と慢心しないように注意しましょう。

 では燃料警告灯が点灯した際、慌ててしまう人もいるかもしれませんが、どうすればよいのでしょうか。

 警告灯が点灯した場所が街中などの一般道であれば、それほど遠くない距離にガソリンスタンドがある可能性が高いのでそれほど心配する必要はないと言えます。最寄りのスタンドを探して給油しましょう。

 ただし夜間の場合となると、24時間営業しているスタンドが近隣に見つからない場合があります。

 その際は、24時間利用できるロードサービスを利用して助けてもらうことも検討する必要があります。

 ロードサービスによっては1万円以上の利用料金がかかり、さらにガソリン代の実費が請求されることもあるようなので、事前に確認しておくと安心です。

 最も注意したいのが、「高速道路」で警告灯が点灯した場合です。

 高速道路は基本的にサービスエリアが約50kmの間隔を目安として配置されており、多くのサービスエリアにはガソリンスタンドがあるので、次のサービスエリアに入って直ちに給油をおこないましょう。

 ただし、サービスエリアによってはガソリンスタンドの設置が無かったり、ガソリンスタンドの設置間隔が100km以上開いている区間も存在します。

 また、営業時間や設備点検などのタイミングが悪いと給油できない可能性も少なからずありますので、「50km走って次のサービスエリアに入れば必ず給油できる」とは考えないほうが良いでしょう。

 もしクルマに同乗者がいる場合には、スマートフォンやカーナビで次のサービスエリアまでの距離やガソリンスタンドの有無を調べてもらい、さらに念のために電話で確認するとより安心です。

 次のサービスエリアまでたどりつかなそうな場合や、スタンドの営業時間が過ぎているなど給油できそうな環境がない場合には、無理に次のサービスエリアまで走行することはせずに、いったん最寄りのインターチェンジで一般道に降り、近隣のガソリンスタンドで給油した方が安心です。

警告灯が点灯したまま走り続けたらどうなる?

 燃料残量警告灯に気づかないなどで走り続けてしまい、ガス欠になってしまった場合にはどうすれば良いのでしょうか。

 クルマはガス欠でエンジンが停止する直前に、徐々に異変が起き始めます。アクセルペダルの反応が鈍くなり加速できなくなったり、異音や振動を発生させる場合もあります。

 その兆候を無視してさらに走り続けると、最終的には燃料が尽きてエンジンへの供給ができなくなり、エンジンが停止しクルマが動かないという最悪の事態になります

 もしもクルマが止まってしまいそうな状況に陥った場合には、直ちにハザードランプを点灯させて周囲にクルマの異常を知らせ、エンジンが完全に停止する前にクルマを路肩へ安全に移動させてください。

 高速道路を走行中の場合は、近くに非常駐車帯があれば非常駐車帯に、無ければ可能な限り広い路肩を止めると良いでしょう。

 ただし高速道路や自動車専用道路はそもそも駐停車禁止です。

 路上でクルマを停止したことで追突や重大な交通事故を誘発しないよう、早急に周囲に異常を知らせることが大切です。安全を確認しながら発煙筒で後続車に停止中であることを知らせたり、危険防止のための三角表示板をクルマの後方に設置しましょう。

 次に、道路緊急ダイヤル(#9910)に連絡するか、高速道路脇に設置されている「非常電話」を使用して通報します。その際にはガードレールの外側に移動し、自分の安全も確保するのを忘れてはいけません。

 ガス欠になった場合の復旧方法は、基本的にロードサービスなどに救援依頼をして待つことが推奨されており、とくに高速道路での復旧方法はロードサービスによる救助以外は選択がありません。JAF(日本自動車連盟)や自動車保険会社のロードサービスを利用して給油をしてもらいましょう。

 このように、高速道路上でガス欠になってしまった場合は、安全確保に努めなくてはなりませんが、じつは高速道路上でのガス欠は違反に該当します。

 道路交通法第75条の10「自動車の運転者の遵守事項」には、要約すると「高速道路でクルマなどを運転するときは予め、燃料や冷却水・オイルを点検し、これらが不足して運転することができなくなることを防がなくてはならない」と記されています。

 ガス欠はこれに違反してしまうため、違反点数2点と反則金9000円(普通車)が科せられてしまいます。

 また、道路上、とくに高速道路上での車両の停止は後方からの追突を誘発することになり、交通事故のきっかけになってしまうとさらなる責任が発生する可能性もあります。

※ ※ ※

 ちなみに、一度完全なガス欠を起こしてしまうとクルマにもダメージが及び、エンジンまわりの部品を痛めることになるので、クルマの寿命を縮めてしまう恐れがあると言われており、やはり前もって給油しておいたほうがよさそうです。

 普段あまり意識することのない燃料残量警告灯ですが、このようなガス欠により起こる様々なトラブルを防ぐために、前もって警告してくれる重要な装置なのです。

「点灯したけれどまだ走れるだろう」など過信せず、警告灯が点く前の給油を習慣づけ、もし点灯したら早急に給油場所を探して給油し、常に安全を確保した運転を心がけましょう。