クルマの事故発生現場において「交差点付近」は高くなっています。そうした中で日本損害保険協会は、各都道府県で人身事故が多発している交差点をまとめた「事故件数が多かった交差点をワースト10」を公表しています。では、ワースト10に共通する条件とはどのようなものなのでしょうか。

危ない交差点の特徴は? どのようなことに注意すれば事故を防げるのか?

 交通事故は日々さまざまな場所で発生しています。特に交差点や交差点付近での事故は全体の半数以上を占めており、クルマを運転する上で注意しておく必要があります。
 
 では、一体どのような交差点が危ないと言えるのでしょうか。

 警察庁が公表している「地形別・道路形状別交通事故件数の推移」という統計資料によると、2022年中に発生した交通事故30万839件のうち、交差点内や交差点付近で発生した事故は17万665件と全体の約56.7%を占めています。

 また「地形別・道路形状別死亡事故件数の推移」という資料では、2022年中の死亡事故2550件のうち、交差点内や交差点付近の事故が1201件と全体の約47.1%を占めており、死亡事故においても高い割合であることが分かります。

 さらに、人と車両の事故においては交差点やその付近にある横断歩道上での事故が圧倒的に多く、2022年中に1万2060件の事故が発生しているほか、車両同士の事故では交差点やその付近において出会い頭の事故が6万4719件、右折する際の事故が2万1579件起きていることも明らかになっています。

 事故の詳細は分からないものの、出会い頭の事故に関しては一方のクルマが赤信号無視や一時不停止などをしたことで衝突したケース、右折時の事故に関しては右折するクルマと直進するクルマが接触したケースなどが考えられます。

 つまり、交通事故に遭わない、また交通事故を起こさないためには交差点付近でのクルマの運転に一層注意することが重要といえます。では、一体どのような交差点が危険なのでしょうか。

 一般社団法人日本損害保険協会のホームページでは、各都道府県で人身事故が多発している交差点をまとめた「全国交通事故多発交差点マップ」を公表しています。

 さらにその中でも件数が多かった交差点をワースト10として紹介しており、2021年中のデータでは東京都にある大原交差点や池袋六ツ又交差点のほか、大阪府の阪和豊中交差点、梅新東交差点などがランクイン。

 これら事故の多い交差点を見ていくと、危険な特徴としてワースト1位の大原交差点や2位の池袋六ツ又交差点、5位の瓜破交差点(大阪府)などのように「見通しの悪い場所」が挙げられます。

 いずれも大きな交差点であるものの、交差点の上に高速道路が通っているために交差点内に支柱や橋脚があり、対向・交差するクルマの動きが見えにくくなる可能性があります。

 また、それほど大きくない交差点でも建物やブロック塀、樹木などによって見通しが悪い場合があり、それらの陰からクルマが出てくることもあるため、ドライバーは状況に応じて一時停止や徐行などをして慎重に運転することが大切です。

「見通しの悪い場所」に挙げられる…危険な交差点の条件とは

 次に、交差点のワースト3位である阪和豊中交差点や同率3位の梅新東交差点などで見られる危険な特徴として、交差点の周りに商業施設やオフィスなどが立ち並び、歩行者や自転車などの横断が多いことが挙げられます。

 前述のように、人と車両の事故は交差点やその付近の横断歩道上で多く発生しており、クルマが左折する際に歩行者を巻き込んだり、スピードを出して右折したところ、その先にある横断歩道を渡っていた歩行者に衝突するといった危険性があります。

 たとえ歩道橋が設置されている交差点でも、自転車用のスロープがなく自転車がそのまま車道を走っていることがあるため、左折の際に巻き込まないよう徐行と安全確認をしっかり行いましょう。

 その他、2020年中の人身事故件数でワースト1位に選ばれた福岡県の針摺交差点のように道路が下り坂になっている交差点も危険な場所のひとつです。

 なぜならば下り坂はクルマのスピードが出やすい傾向にあり、前方をよく確認していないと追突するおそれがあるためです。

 前のクルマと十分な車間距離を保つほか、スピードを出し過ぎない、脇見運転をしないといった心がけが重要です。

 このように一般社団法人日本損害保険協会が「全国交通事故多発交差点マップ」を公表しているほか、千葉県警や長崎県警などのホームページにおいても「交通事故多発交差点」のデータを掲載しています。自分の住んでいる地域に危険な交差点がないかチェックしてみても良いかもしれません。

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 交通事故の半数以上は交差点内や交差点付近において発生しています。

 見通しの悪い場所や交通量の多い場所などでは周囲の安全確認だけでなく、「クルマや人が飛び出してくるかもしれない」、「前のクルマが急ブレーキをするかもしれない」という危険予測運転をより意識しましょう。