ダイハツのコンパクトSUV「ロッキー」は同社の登録車でもっとも販売台数が多いモデルです。5ナンバーサイズの小さなSUVが支持されるのはなぜなのでしょうか。

従来のSUVの不満を解消したのがポイント

 ダイハツの登録車のなかでもっとも売れているのが、コンパクトSUVの「ロッキー」です。
 
 ダイハツの新世代クルマづくり「DNGA(ダイハツニューグローバルアーキテクチャ)」を取り入れたモデルの第2弾となり、2019年11月にデビューしました。

 軽自動車や小型車を得意とするダイハツらしく、コンパクトな5ナンバーサイズで運転しやすいのが特徴。同社の登録車ラインナップのなかでもっとも売れているモデルとして、多くの人に支持されています。

 ロッキーが人気を集める理由はどこにあるのでしょうか。

 近年ブームとなっているSUVのなかでも、各社が力をいれているのがコンパクトなモデルです。

 とはいえ、コンパクトSUVに厳密な定義はなく、全幅が1700mmを超えるいわゆる3ナンバーサイズのSUVもコンパクトSUVにカテゴライズされることがあります。

 そんななか、ロッキーは真の意味でのコンパクトSUVで、全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mmと、国産SUVのなかでも全長が短く、日本の狭い道や駐車場などでも小回りが利き、取り回しがしやすいボディを有しています。

 迫力のあるフロントグリルや17インチの大径タイヤを装着することで、力強くダイナミックな外観デザインを実現。室内や荷室は想像以上に広く設計されているなど、実際のボディサイズは小さくても、それを感じさせないパッケージングがポイントです。

 パワートレインは、発売当初は1リッターターボのみでしたが、2021年11月に新開発の1.2リッター自然吸気エンジンを追加。さらに、1.2リッターハイブリッド「e-SMART HYBRID」を設定し、現在は3種類から選択可能です。

 ロッキーから搭載が始まったe-SMART HYBRIDは、エンジンで発電した電気を使ってモーターで駆動するシリーズハイブリッド方式を採用しており、日産の電動パワートレイン「e-POWER」と同様の仕組みです。

 エンジンを発電専用とし、100%モーター駆動とすることでレスポンスの良い加速性能と高い静粛性を実現するほか、低燃費かつコストも抑えられることから、小型車に適した方式とされています。

 ダイハツではロッキーを皮切りに、e-SMART HYBRIDを軽自動車へと展開していく方針だといいます。

 ダイハツがコンパクトSUVを開発した理由として、日本の乗用車市場は横這いの状態が続いている一方でSUVの比率は年々上がっており、SUVの人気が高まっているという背景ことがあったといいます。

 また、コンパクトカーのユーザーがSUVに乗り換える比率も上がっているなかで、従来のSUVの価格の高さや荷室の狭さ、取り回し性能について不満を持っている人がおり、そんな不満を解消した、コンパクトなサイズで荷室が広いという新たなコンパクトSUVを作り出しました。

 ロッキーのターゲット層は、軽自動車やコンパクトカーからアップサイジングする人や、ミニバンや大型SUVからダウンサイジングする人などとし、実際に年代や年齢問わず好評とのこと。

 ダイハツのウェブサイトに寄せられたロッキーのオーナーボイスでは、「見た目がかっこいい」「コンパクトで運転しやすい」「軽自動車より乗りやすい」「小さくてもパワーがある」「街乗りにもキャンプにも最適」といったオーナーボイスが寄せられており、多くの人にとってちょうど良いモデルであるところが評価されているようです。

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 ロッキーはトヨタへOEM供給されており、「ライズ」として販売されているほか、スバルでは「レックス」としてラインナップされています。

 ちなみに、ライズはトヨタのSUVシリーズに共通するワイルドなフロントマスクを採用。一方のレックスはロッキーと同じデザインで、エンブレムが変更されたのみにとどまります。

 内装は3モデルで基本的に同一ですが、ロッキーにはライズ・レックスにはない上級志向のインテリアが用意されています。