2023年5月16日にヒョンデは、日本乗用車市場再参入1周年を記念する発表イベント「Hyundai Brand Day」を開催しました。イベントでは日本市場導入予定の新車種もお披露目されました。

ヒョンデ 純電動「コナ エレクトリック」23年秋発売 「アイオニック6」も日本初公開

 韓国の自動車メーカー「ヒョンデ」は2023年5月16日、同社の日本乗用車市場再参入1周年を記念する発表イベント「Hyundai Brand Day」を開催しました。イベントでは日本市場導入予定の新車種もお披露目されました。

 ヒョンデは1967年に設立された韓国最大の自動車メーカーで、同じく韓国の「キア(起亜)」とともに「ヒョンデモーターグループ」を形成しています。2022年にはグループ全体で全世界684万5000台を販売し、トヨタグループとフォルクスワーゲングループに次ぐ世界3位の自動車会社です。

 日本市場に初めて参入したのは2001年のこと。当時は「ヒュンダイ」の名で知られており、すでに欧州や北米などの市場で展開していたヒュンダイにとって、日本市場は最後まで展開していなかった市場のひとつでした。

 満を持して日本に参入し、当時の韓流ブームや日韓ワールドカップに絡めたプロモーションも積極的に展開しましたが、業績はお世辞にも良いものとは言えません。

 2009年における同社の日本での販売台数は1000台以下を記録、そしてついには日本市場からの乗用車販売を撤退する形となります。

 乗用車販売を終えた後も商用車部門は残り続け、大型観光バス「ユニバース」の販売や、撤退前に販売した乗用車のアフターサービスを提供し続けていました。

 そんな中、2020年にヒョンデは燃料電池車「ネッソ」を日本各地のイベントに出展したり、カーシェアサービス「Anyca」で貸し出したりと、日本再参入に向けての準備を行なっているのではないかと話題になります。

 そして2022年2月、ヒョンデは正式に日本における乗用車販売を再び行うことを発表しました。

 ヒョンデは現在、純電動クロスオーバー「アイオニック5」と燃料電池SUV「ネッソ」の2車種を日本で販売しています。

 前回参入時の反省点として消費者のニーズを理解していなかった点を挙げ、日本でも関心が高まっている新エネルギー車の販売に専念する形としています。

 アイオニック5は2022年5月に日本で注文を開始、7月頃からデリバリーが始まり、これまで700台ほどを個人客向けに販売しており今後の売れ行きも期待されます。

 今回開催された「Hyundai Brand Day」では、数々の発表が行われました。

 まずはヒョンデ最新純電動SUV「コナ エレクトリック」の日本導入です。コナはヒョンデが2017年より販売しているコンパクトSUVで、2022年12月には2代目へフルモデルチェンジ。

 同モデルは以前より日本国内でも公道でテストする様子が目撃されており、日本導入は秒読みと言われていました。

 コナのガソリンモデルは1.6リッター直列4気筒ターボエンジン+8速ATと2.0リッター直列4気筒エンジン+CVTを用意、そして1.6リッター直列4気筒エンジンを搭載するハイブリッドモデルも展開されています。

 また、コナ エレクトリックでは容量48.6 kWhと64.8 kWhの2種類を取り揃え、多種多様なパワートレインから選択できます。

 日本に導入されるのはコナ エレクトリックのみとなり、2023年秋からの販売を予定しているとのこと。

 ボディサイズも全長4355mm×全幅1825mm×全高1575mmと小柄なため、アイオニック5と比較しても日本で乗りやすい純電動SUVとなるでしょう。

世界で話題の純電動セダン「アイオニック6」も日本で初めて公開

 また、2023年7月に発表予定であるアイオニック5のハイパフォーマンスモデル「アイオニック5 N」も2024年初めに日本で販売されます。

 パフォーマンスブランド「ヒョンデ N」は研究開発施設がある「南陽」と世界的に有名なサーキット「ニュルブルクリンク」を名前の由来としており、FIA 世界ラリー選手権(WRC)やFIA 世界ツーリングカーカップ(WTCR)、ニュルブルクリンク24時間耐久レースなどのモータースポーツで戦うだけでなく、そこで培った技術と経験をフィードバックさせたハイパーフォーマンスモデルを手がけています。

 現在のラインナップは「i20 N」や「i30 N」、「ヴェロスターN」などのガソリン車のみのため、近日発売予定のアイオニック5 Nは同ブランド初のBEVになります。

 会場では韓国や北米、欧州ですでに販売されている純電動セダン「アイオニック6」も日本で初めて公開されました。

 アイオニックブランド第2弾となるこのモデルはアイオニック5と同じEV専用プラットフォーム「E-GMP」を採用しており、その独特な流線型のシルエットが非常に特徴的です。

 ヒョンデはアイオニック6の日本導入をまだ決定したわけではないとしつつも、将来的な導入の検討に向けて試乗や展示用に数台を日本へ試験的に導入すると発表しました。

 会場で展示されていた個体は右ハンドル、そしてウィンカーレバーも右側に装着されているオーストラリア仕様で、すでに日本のナンバープレートも交付されている状態でした。

 2023年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したこともあり、実際に日本で導入されるとなればさらなる話題を呼ぶでしょう。

 発表会ではこれ以外に、アイオニック5のアップデートモデル、そしてそれをベースにした日本発売1周年記念車「アイオニック5 Lounge AWD Limited Edition」も発表されました。

 アップデートモデルでは外装色に「ホワイトアトラスマット」を追加したほか、中間グレード「アイオニック5 Voyage」へのAWDモデルの追加、そして急速充電器をあらかじめ目的地に設定することで充電する際に最適な状態へと状態を整える「バッテリー・プリコンディショニング機能」や、急速充電中に8分間だけ充電出力を約100 kWまで高められる「ブースト・チャージングプログラム」を装備しています。

 アイオニック5 Lounge AWD Limited Editionでは追加色のホワイトアトラスマットに加えて専用色「ルーシッドブルーパール」を設定(内装色はどちらも限定車専用のダークティール)、それぞれ80台と20台限定で販売します。

 また、最も大きな特徴としてドアミラーを小型カメラに置き換えた「デジタルサイドミラー」が挙げられます。

 これにより従来型のドラミラーと比較して視野角度が約11度広くなるだけでなく、筐体そのものによる死角も減少するとしています。

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 アフターサポート面では新車登録から3年間のケアを無償で提供する「ヘルスケア」と、年1回の10万円までの外装修理を無償で行う「スタイルケア」を含む「Hyundai Assurance Program」の開始が発表されました。

 ヘルスケアは登録後12ヶ月目と24ヶ月目の法定点検基本料金に加え、36ヶ月目の車検費用をヒョンデがすべて負担するプログラムです。

 また、車検時のバッテリークーラント交換費用も無償で行うとしています。ヘルスケアは2022年5月以降に注文されたすべての車両が対象、そしてスタイルケアは2023年4月以降の注文が対象としています。