2023年は「ジャパンモビリティショー」(東京モーターショーから改名)が開催されます。そこで、過去のモーターショーで話題を集めたモデルのなかから、三菱「コンセプト GC PHEV」を紹介します。

次期パジェロとウワサされたコンセプトカーとは?

 通常2年おきに開催されていた「東京モーターショー」。新型コロナウイルスの影響もあり、2019年を最後に開催を見合わせていましたが、2023年10月に名称を「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)」に変更し、再び開催されることになりました。

 そこで、過去の東京モーターショーで登場した話題のモデルを振り返り、2013年の第43回東京モーターショーで三菱自動車が出展した「コンセプトGC-PHEV」を紹介します。

 東京モーターショー2013で三菱が世界初公開したコンセプトGC-PHEVは、FRタイプのPHEVシステムを採用したフルタイム4WDの次世代ラージSUVです。

 ボディサイズは全長4930mm×全幅1840mm×全高1980mmと大柄であることや、優れた四駆性能により、公開当時は「次期パジェロ」ではないかといわれていました。

 コンセプトGC-PHEVの外観デザインは、筋肉質な力強い面構成と躍動感あるシャープなラインを共存させつつ、塊から削り出したような彫刻的フォルムを実現。

 フロントフェイスは、上方にデイタイムランニングランプ、下部にヘッドライトをレイアウトすることで、本格SUVの風格が感じられます。

 また、フロントグリルには冷却効果を高める可変式ルーバーを採用したほか、ボディの随所にも積極的にエアロダイナミクス技術を採り入れました。

 ドアはBピラーレスの観音開きとすることで、簡単に乗り降りすることが可能です。

 広々した車内は、インパネ上部にドアトリムに繋がる「ワイドマルチディスプレイ」や、フロントウインドシールドには、AR(拡張現実)技術を応用した「ARウインドシールド」を装備。また、室内中央にはタッチスクリーン式の大型インターフェイス「タクティカルテーブル」を配置し、先進的で新しいクルマの方向性を目指しました。

 コンセプトGC-PHEVは、3リッターV型6気筒スーパーチャージドエンジンにPHEVを組み合わせ、本格SUVに求められる力強い走りを実現。走行状況などに応じてEV走行とハイブリッド走行を切り替えることができます。

 さらに、PHEVシステムならではの優れたレスポンスや滑らかな加速フィーリング、高級車並みの静粛性も特徴となっています。

 大容量バッテリーを搭載することから、アウトドアレジャーや非常時には車載コンセントから家電製品などへ電力を供給することが可能。

 目安として、一般家庭の電力消費量の約1日分相当、エンジン発電を含めると最大で約13日分相当の電力供給ができます。

 四駆性能高さもコンセプトGC-PHEVのポイントのひとつとされ、卓越した安定性と意のままの操縦性を高次元で具現化した車両運動統合制御システム「S-AWC」を、同コンセプトカーに最適化して搭載。

 フロントとセンターに電子制御のLSDをもつフルタイム4WDをベースに、モータートルクで後輪左右の駆動力差を制御する「E-AYC」を加え、4輪の駆動力を緻密にコントロールすることで卓越した安定性をもたらすほか、PHEVシステムと連動することによりパワフルな走破性を実現するといいます。

 先進の情報システムを活用したコネクティッドカー技術のほか、先進安全技術「e-Assist」を搭載。

「歩行者衝突軽減自動ブレーキ」はもちろん、クルマと道路との通信システムを利用し、信号の変化や人やクルマなどの接近を検知して減速を促す「路車間通信利用運転支援」や、運転手の異常を検知する「ドライバーモニター」など、現在でも通用する高レベルの安全技術が盛り込まれていました。

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 2019年8月をもって国内向けのパジェロの生産終了となり、海外向けも2021年の製造工場だった「パジェロ製造」の閉鎖にともない生産が終わりました。

 現時点(2023年)で、コンセプトGC-PHEVをもとにした次期パジェロは登場していません。

 一方で、海外では「パジェロスポーツ」というミドルサイズSUVが存在。パジェロの名にふさわしいオフロード走破性・耐久性・信頼性・安全性を備えながら、スタイリッシュなデザインと快適性を特徴とし、アジアなどで販売されています。

 全長4785mm×全幅1815mm×全高1800mmというボディサイズで取り回し性も良く、堅牢なラダーフレームを採用した本格オフロード車ということもあって日本でも人気が出そうなのですが、残念ながら国内導入は実現していません。