埼玉県と茨城県を4車線でつなぐ、広域的な道路計画「都市軸道路」が工事進行中です。一部は完成済みで、有料区間もあります。いったいどんなルートの道路で、完成すればどう便利になるのでしょうか。

壮大な広域道路 その開通状況は

 埼玉県と茨城県を4車線でつなぐ、広域的な道路計画「都市軸道路」というものがあります。一部は完成済みで、有料区間もあります。
 
 いったいどんなルートの道路で、完成すればどう便利になるのでしょうか。

 都市軸道路は、埼玉県三郷市から茨城県つくば市をむすぶ広域道路コンセプトです。これをもとに、各自治体は都市計画道路を設定し、一本の道路でつないでいます。

 このコンセプトは「つくばエクスプレス」を補完する並行道路という位置づけで、ルートも流山市内からほぼ線路沿いに北上する形となっています。

 全通すれば、外環道からつくば市内までが、右左折がほぼゼロのまっすぐな4車線でつながることとなり、沿線の各市同士のアクセスも飛躍的に向上することが期待されています。

 この「都市軸道路」の事業として近年最もインパクトの大きいのは、2023年11月に開通した「三郷流山橋」かもしれません。それまで江戸川には8kmにわたって「橋空白地帯」があり、埼玉県と千葉県の県境は川によって大きく分断され、南側の流山橋は強烈なボトルネックとして渋滞ポイントとなっていました。

 ここに橋を架けるというのは沿線住民の悲願でもあり、これを実現させるためには「都市軸道路」という広域コンセプトが後押しした一面もあります。普通車150円の有料の橋ですが、貴重なバイパス道路として多く利用されています。

 さて、壮大なプロジェクト「都市軸道路」ですが、全線でみるとどこまで進んだのでしょうか。

 都市軸道路の起点は、外環道の外環三郷西ICです。そこから北上し「葛飾吉川松伏線バイパス」として2012年に4車線開通済みで、東へ折れ、三郷流山橋へ至ります。ここは未開通部ですが、送電線と高圧鉄塔が並ぶ部分は「彦糸工区」として、鉄塔移設などの準備工事が始まりつつあります。

 三郷流山橋から千葉県内に入ると、4車線工事区間を経て、流山おおたかの森駅前からずっと4車線道路が続きます。道路は柏たなか駅の手前でブツ切れ。国道16号を立体交差する高架橋が、2026年度完成をめざして工事中です。

 柏たなか駅の北側で4車線道路は再び途切れます。ここからが難所で、利根川が立ちはだかっています。県をまたぐという難しさもあり、沿線自治体が要望活動を続けていますが、事業化には至っていません。

 ここでは実に13.5kmにわたって橋が無く、文字どおり分断状態。特に守谷市にとっては「近くて遠い流山・野田」の状況です。

 さて、守谷市からつくば市内までは、ほぼ全線に渡って事業進行中。おもに暫定2車線で、つくばエクスプレスの線路に沿って断続的に道路が開通しています。

 みらい平駅を過ぎると線路から離れて北上し、国道354号谷田部バイパスに接続します。その接続部の手前の区間が未開通で、現場では排水構造物など、徐々に道路の姿を現してきています。その先はつくば市内まで、4車線道路が完成済みです。