光岡自動車が販売を予定している「M55(エムダブルファイブ)」は1970年代の旧車のようなデザインが特徴です。このデザインにはどのような意味が込められているのでしょうか。

目指すは「70年代、良かった時代のクルマ」

 光岡自動車(以下ミツオカ)は2024年2月29日、4ドアスポーツセダンのコンセプトモデル「M55(エムダブルファイブ)コンセプト」の市販化を決定したと明らかにしました。
 
 初公開時は旧車らしい懐かしいデザインだったということもあり、大きな反響を呼んだモデルですが、デザインにはどのような意味が込められているのでしょうか。

 M55コンセプトは、ミツオカが2023年に創業55周年を迎えたことを記念して作られましたモデルです。

 1981年からオリジナルカーの製造を開始し、主に国産車をベースにハンドメイドでカスタムしたクルマを手掛けたミツオカがクルマづくりにかける情熱と、ミツオカ車に対する魅力を感じさせ、自由闊達(かったつ)な楽しさの象徴になるモデルだといいます。

 ベース車は2021年に発売したホンダのスポーティハッチバック「シビック」現行型のうち、1.5リッターターボの6速MT搭載モデルです。

 エクステリアデザインはシビックから大幅に変更され、ミツオカと同世代のユーザーが幼少期に過ごした1970年代にヒットしたものに仕上げられています。このデザインについて、光岡自動車 執行役員の渡部 稔氏は公開当初の取材で、以下のように説明しています。

「デザインは、そうした(高度経済成長で日本も元気だった時代の)70年代に乗りたかったデザインを採用しました。

 そのため、具体的にオマージュした車種はなく、ダッジ『チャレンジャー』や日産『スカイライン(ケンメリ)』、トヨタ『セリカ』に似ているという声もありますが、ぜんぶ正解なのです」(渡部氏)

 具体的には、フロントフェイスは丸みを帯びたメッキベゼルを装着し、その内側にはグリルと丸目4灯のヘッドライトを装備。グリルやライトもメッキベゼルがあしらわれ、現代のクルマにはないきらびやかさを持っています。

 また、ボンネット先端が前方に突き出た逆スラント形状をもたせ、当時のトレンドを意識したスタイリングに一変させています。

 ボディサイドはブラックのホイールにホワイトレターが組み合わされることで、往年のアメリカンマッスルカーのような雰囲気を感じさせます。

 リアはウインドウルーバーとブラックのダックテールスポイラーが合わさり、当時の高性能モデルを想起させるほか、ブラックガーニッシュにテールランプが配したユニークかつ懐かしいものに仕上がっています。

 インテリアはシビックの趣きを残しつつも、ハトメ加工を施したブルー地のシートを装着し、イメージチェンジを果たしました。

 公開時は大きな反響が寄せられるとともに、ミツオカの麻布ショールーム(東京都港区)と富山ショールーム(富山市)で実車が披露されています。

 同時に、ミツオカ公式サイトでは応援メッセージが募集され、麻布ショールームではユーザーから届けられたメッセージを数多く掲出。

 SNSなどでも大きな話題となり、懐かしいデザインについて大いに評価する50代以上のユーザーのほか、10〜20代のユーザーにとっては斬新に映ったようで、「カッコイイ」とのコメントも見られました。

 当初は市販化についてシビックの納期が不透明なこともあり、具体的な言及はなされていませんでしたが、供給台数の確保に見通しが付いたとして2025年内に市場投入が決定。

 なお、手作りによる生産能力に限りがあるとしていることから、台数限定の販売になるとみられ、市販モデルの正式発表日や価格などは不明ですが、期待されていたモデルということもあり、登場に大きな期待がかかっています。