近畿地方の新たな「南北方向の高速道路」として、名神と名阪道路を直結する「名神名阪連絡道路」が、具体化に向けて前進中です。完成すればどれだけ便利になるのでしょうか。また、話はどこまで進んでいるのでしょうか。

滋賀〜三重を縦に直結

 近畿地方の新たな「南北方向の高速道路」として、名神と名阪道路を直結する「名神名阪連絡道路」が、具体化に向けて前進中です。
 
 完成すればどれだけ便利になるのでしょうか。また、話はどこまで進んでいるのでしょうか。

 名神名阪連絡道路は、滋賀県と三重県を縦にむすぶルートです。名神「八日市IC」から南下し、新名神「甲賀土山IC」を経由して、さらに名阪国道「上柘植IC」へ接続する計画です。

 このエリアは広大な山岳地帯が広がっていて、滋賀・奈良と三重県とをむすぶ「横軸」は何本かあるものの、南北にむすぶ「縦軸」はほぼ皆無。あるとしても、どれも狭隘で急カーブ・急勾配が延々と連続する「酷道」「険道」の様相です。

 もし高規格道路が完成すれば、「分断状態」だった滋賀〜奈良・三重が「トラックで普通に走れる道路」で直結されることとなります。

 さらに、関西の新たな南北軸が完成することで、「近畿〜北陸の最短ルート」としての役割にも期待がかかります。とくに和歌山・奈良にとっては、北陸方面へ迂回なく突っ切ることができるようになります。

 気になる現状ですが、すでに事業化までのプロセスを歩みはじめ、概略ルートを決定する「計画段階評価」の真っ最中となっています。

 概略ルートが決まれば、それをもとに「都市計画決定」「環境アセスメント」の2つの手続きが行われ、それが完了すればいよいよ事業化を待つ段階となります。

 計画段階評価は2段階あり、「概略ルート案を決定」「複数案からひとつに決定」の2プロセスを経て概略ルートが決まります。

 その1回目の地元アンケートなどが、2023年1〜2月に行われました。それらを総合し、概略ルート案が3つほどに絞られます。

 その3案や「2回目」の方向性など、また委員会が開かれて決められることになりますが、それについてはまだ動きが明らかになっていません。

 近畿地方整備局の2024年度の調査検討の予定でも、名神名阪連絡道路については「計画段階評価」の文字が無く、4年前から同じ「計画の具体化に向けて滋賀県及び三重県と連携して進めます」というあいまいな表現が続くのみ。概略ルート決定の途中で、やや足踏みしているようにも見受けられます。

 とはいえ、2022年に「重要物流道路」候補区間に指定され、国としても早く実現したい道路であるのは確か。近いうちに、何らかのアクションがある可能性は低くないでしょう。