石川県能登町の興能信用金庫が能登半島地震で被災した取引先に行った調査で、特に被害の大きかった輪島、珠洲両市の事業者の約6割が営業を再開できていないと回答したことが、5日までに分かった。ほとんどが中小企業や個人事業主で、施設の損壊などによる観光、小売業の休止が多いという。

 調査は輪島、珠洲両市の1637事業者を対象に、電話などで1月下旬〜2月上旬に実施。約1200の事業者の建物に全壊や半壊などの被害が出て、約980の事業者が営業を休止していると回答した。

 両市では大手のスーパーやコンビニなどの営業再開が比較的早く進んできたという。その一方で、中小の事業者の厳しい状況が浮き彫りになった。

 事業主の中には自宅の被災などで避難生活を余儀なくされ、生活の基盤すら確保できていない人も多い。営業再開を「まだ考えられない」といった声が多く聞かれるという。

 興能信金の田代克弘理事長(61)は取材に応じ、行政や商工団体などと協力して被災事業者の再生に取り組む部署を、4月をめどに新設すると明らかにした。