日銀の植田和男総裁は19日、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策の解除などを決めた金融政策決定会合後に記者会見し、約11年に及んだ大規模緩和策について「役割を果たした」と語った。会合では、長期金利を低く抑えるための長短金利操作の撤廃や上場投資信託(ETF)の新規購入終了も決定。今後は政策金利を0〜0.1%程度に誘導し「短期金利を主たる政策手段とする普通の金融政策になる」と説明した。

 植田氏は会見で、先行きの政策金利の動向について「急激な上昇は避けられる」と述べ、当面は緩和的な金融環境が続くと強調した。

 大規模緩和の正常化に踏み切った理由に関しては「(賃金と物価がそろって上がる)好循環の強まりが確認されてきている」と指摘。連合が15日、今春闘の平均賃上げ率が33年ぶりの高さとなる5.28%だったとの中間集計を公表したことを「判断の大きな材料にさせていただいた」と述べた。

 回答がこれから本格化する中小企業については「ある程度(の高水準)になるのではないか」との見通しを示した。