【ロンドン共同】オーストラリアの資源大手BHPグループは、同業の英アングロ・アメリカンに買収を提案した。電気自動車(EV)などで需要増が見込まれる銅事業の拡大を狙う。当初の買収額は388億ドル(約6兆1千億円)だったが、アングロは「過小評価だ」として拒否。BHPは約1割引き上げたが再び拒否され、提案内容の再修正に動くかどうかが焦点だ。

 アングロは南米に鉱山を保有する銅に強みを持つほか、鉄鉱石やニッケルなどの生産を手がける。世界のダイヤモンド市場で支配的な地位を誇るデビアスも傘下に置く。

 銅は発電機や通信機器向けなどに幅広く使われる。銅の需要はEV普及や、再生可能エネルギー関連の送配電網の整備に伴い拡大する方向で、2035年は22年比で2割多い3千万トンになるとの試算もある。

 ただ23年は銅価格の下落を受けて利益が急減。BHPによる買収提案が明らかになる以前の株価は低迷。アングロは提案を拒否すると同時に、ニッケル事業やデビアスの分離などの構造改革に取り組む方針を明らかにした。