2023年に全国の警察が受理した企業情報の持ち出しなど営業秘密侵害に関する相談は前年比19件増の78件で、統計を取り始めた13年以降で最多だったことが11日、警察庁のまとめで分かった。営業秘密侵害事件の摘発は26件で、最多だった22年に次いで2番目に多かった。

 警察庁は、転職など人材の流動化が進んでいることや営業秘密に対する企業側の意識の高まりなどから、摘発・相談件数が高水準になっているとみている。

 先端技術情報の海外流出も懸念されることから、経済安全保障政策として、警察は企業や研究機関に情報持ち出しの手口や対策を助言する「アウトリーチ活動」を強化している。

 23年8月には、勤務先だった病院から患者約180人分の個人情報を持ち出したとして、長野県警が不正競争防止法違反容疑で医療技師の男を逮捕。

 同9月には、元勤務先の大手商社・兼松の営業秘密を不正に取得したとして、警視庁が同法違反容疑で大手総合商社・双日の元社員の男を逮捕した。