四大公害病の一つ、水俣病が公式確認から68年となった1日、熊本県水俣市で犠牲者慰霊式が営まれ、患者や遺族が祈りをささげた。被害者救済策の対象から漏れた人らが国などを訴えた訴訟は今も続く。大阪など3地裁で判決は判断が割れたが、新たな罹患の認定が相次いだ。早期解決を望む声は高まり、遺族代表は「水俣病による混乱状態が一日も早く終わることを願う」と訴えた。

 水俣市内の不知火海(八代海)沿岸で、多くの認定患者が住んでいた地区出身の川畑俊夫さん(73)は遺族らを代表して「祈りの言葉」を朗読。「水俣病で亡くなった多くの命を決して無駄にしないように、二度と公害病を起こさないように願う」と呼びかけた。

 参列した伊藤信太郎環境相は「健康被害や地域で生じたあつれきで苦しんだ皆さまに申し訳ない気持ちだ」と陳謝。水俣病の原因企業チッソの木庭竜一社長は「(認定済みの)患者に対する補償責任の完遂」が最重要課題だと強調した上で「その決意は変わらない」と述べた。