東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、中国が将来の経済的な被害の発生に備え、日本に損害賠償制度の創設を水面下で要求していることが分かった。日本は、処理水の安全性に問題はないとして拒否した。複数の日中関係筋が12日明らかにした。両政府は処理水に関する外交当局間協議を続けているが、中国が要求を撤回する動きはない。日本産水産物の輸入停止措置の撤廃は依然見通せない状況だ。

 中国は日本との対話、独自の監視体制構築と共に、賠償制度を「三大メカニズム」と位置付け重視している。政府高官が昨年、複数回にわたり外交ルートを通じて日本に伝えた。日本側は、賠償制度は科学的根拠に基づいていないとして反発。「高い要求を示すことで、結果的に中国に有利な合意を得たいとの思惑がある」(外交筋)との見方も出ている。

 処理水を巡る日中協議では、海洋放出のモニタリング(監視)の在り方が焦点となっている。日本は国際原子力機関(IAEA)を通じた監視が前提としているが、中国は独自の「長期にわたり有効な国際的監視体制」を求めている。