リーダーやマネージャーであれば、チームをよりよい方向へ導きたいと試行錯誤しているはず。でも、メンバーやチーム、組織に変化をもたらすために必要な条件とはなんでしょうか?

この問いに対し、『変化をもたらすリーダーは何をしているのか?』(園部浩司 著、フォレスト出版)の著者は「ていねいさ」と「納得度」だと答えています。

リーダーとして、力技で無理やり人を動かそうとしても、望む結果に着地させることは困難。無理やり力を加えれば、必ず歪みが生じてしまうわけです。重要なのは、チームメンバーひとりひとりが自ら「自分を変えたい」「チームをよりよくしたい」「みんなのために貢献したい」と思ってくれること。

そして、そのために大切なこととして、著者は次の3点を強調しています。すなわちそれが、本書の骨子。

① 話しかけやすい、相談しやすいリーダーを常に意識する

② メンバーに自己決定感を持ってもらう

③ メンバーの認識を丁寧に揃える

(「はじめに」より)

つまり本書では、「この3点を実現するためには、具体的になにをすればいいのか」を明らかにしているのです。ちなみに著者は、人材育成・組織風土改革コンサルタント/研修講師/プロファシリテーターとして活躍する人物。本書に提示されたメソッドは、そうして得たノウハウが軸になっているわけです。

だとすれば、この3点についてさらに詳しく知りたいところ。そこできょうは、これらについて解説した第3章「変化をもたらすリーダーは、チームの『空気』を重視する」に注目してみたいと思います。

キーポイント1: 話しかけやすい、相談しやすいリーダーを常に意識する

メンバーのモチベーションを上げるのは、エネルギーを与えてくれるリーダー。したがってリーダーはつねに笑顔でいるべきだと著者は述べています。いうまでもなく、リーダーが笑顔でいればメンバーも安心できるからです。

そして、もうひとつ大切なのが、「メンバーにはポジティブなことばをかける。ネガティブなことばは使わない」ということだといいます。

人は、ポジティブな言葉、自分を肯定してくれる言葉を聞きたいと思う傾向にあります。ですから、「この人の言葉を聞くと元気になる。やる気が湧いてくるな」と思えれば、自ら話しかけたい、相談したいと考えるようになります。(103〜104ページより)

そこで心がけるべきは、メンバーのよいところを見つけてフィードバックすること。そのためには、メンバーひとりひとりを日ごろからよく観察することが大切。そして、「こういうところがこの人のいいところだな」と気づいたら、すかさず本人に、自分のことばで伝えるようにするといいわけです。

また同時に、ネガティブなことばは使わないようにすることも忘れるべきでないポイント。もちろんリーダーである以上、ときには伝えにくいことを伝えなければならないこともあるでしょう。そういうときには基本的に、「どんなこともポジティブワードに変換」するといいそうです。

たとえばコミュニケーションスキルが低いメンバーがいたとしても、それを劣っていることとして指摘するのではなく、「コミュニケーションスキルをもっと磨けば、いまよりさらに仕事の幅が広がりますね」というようにポジティブな表現に変換して伝えるわけです。たしかにそうすれば、メンバーも前向きに捉えることができそうです。(99ページより)

キーポイント2: メンバーに「自己決定感」を持ってもらう

「人にいわれたからやる」のではなく、自分で決めて自発的にやっているという「自己決定感」を持つことは、モチベーションに大きく影響するもの。そこで著者は、「KJ法」という手法を用いることを勧めています。考案者である文化人類学者・地理学者の川喜田二郎・東京工業大学名誉教授が研究の際、データをまとめるために使った方法だそう。

目標や具体的な業務内容を決める際、最も大事なのは「必ず全員が参加すること」です。

「KJ法」では全員が書き出したものを漏れなくまとめるので、その結果、(中略)メンバー全員が「自分も参加して決めた」という意識を持てます。(120〜122ページより)

「自分も参加して決めた」目標であり、具体的な業務内容であるということが各メンバーに「自己決定感」を持ってもらうために重要だということです。

また、メンバーにプレッシャーを与えるような空気を出さないことも大切であるようです。

もちろん自分の担当業務には責任を持って臨んでほしいものですが、本人がプレッシャーを感じてしまうようではモチベーションも上がらなくて当然。だからこそ、「後ろにはいつも、リーダーである私がついているよ」というスタンスで、メンバーに安心感を持たせるべきだということです。(117ページより)

キーポイント3: メンバーの認識を丁寧に揃える

どんな部署やチームにも、会社から課せられたルールやミッションがあるもの。したがって、メンバーのモチベーションを上げると同時に、そうしたルールやミッションをメンバー全員が理解していることが重要。

ですから、リーダーは基本となるルールやミッションをメンバー全員がしっかり理解できるよう伝えることが大切です。

同時に、リーダーとしての考え方や方針も明確に伝える必要があります。

なぜなら、意外とリーダーによって方針が違うからです。

「どんどんチャレンジしていこう!」という方針のリーダーもいれば、「とにかくミスなく確実に正確にやっていこう!」という方針のリーダーもいるかもしれません。(128ページより)

リーダーによって方針の差がある以上、「リーダーとしての自分は、どのような方針なのか」をしっかりとメンバーに伝え、メンバーが迷わないようにしてあげることが大切。そのうえで、目標や業務内容をメンバー全員で決めていけばいいのです。(127ページより)


これら3つのキーポイントを活用することで、迷いや不安がなくなり、高いモチベーションを軸として仕事に取り組み、達成感を味わいながら働くことができるようになるそうです。また、メンバーのみならず自分自身の士気を上げていくことになるといいます。そんな本書を活用すれば、リーダーとしての資質をより高めていけるはずです。

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Source: フォレスト出版