自分の人生をうまくコントロールするには、家計管理が必要不可欠

お金がどのように使われているかを把握することは、人生の長期目標を立てる際のスタート地点といえます。

それにもかかわらず、予算を組むときのリソースの大半は、現在の収入とライフスタイルに向けられがちです。

どちらも大きく変化しない限りはそれでも問題ないですが、失業して収入が突然断たれてしまったら、どう対処すればいいのでしょうか?

無計画なお金の使い方をしていたら、突然収入がなくなったり、減ったりした途端に大惨事、ということになりかねません。

こうした事態を防ぐために必要なのが、「実用最小限の予算」MVB:Minimally Viable Budget)です。この予算をつくることで生活防衛ラインを正しく理解し、万が一に備えましょう。

MVB(実用最小限の予算)」をつくるメリット

MVBとは、生きていくうえで必要な最小限の基本的な予算を指します。

つまり、収入を失うという惨事に見舞われたときに、自分と自分の家族が住んで、食べて、健康でいるのに毎月必要な最小限のお金です。

これは、非常時のためのお金を用意しよう、という単純な意味ではありません。そうした非常時にお金をどう使えばいいのか、さらに、その資金を長持ちさせるためにはどうすればいいのか、非常時のお金の使い方を事前に想像して計画を立てておくことこそが重要なのです。

そのために、MVBがきわめて重要になります。MVBを組んでおけば、大惨事が襲ってきてもパニックを起こしたり、誤った判断をしにくくなるからです。

私たちはいつ解雇されたり、何らかの理由で働けなくなったりするのかを予測できません。だからこそ、MVBを事前に練り上げておくことで、失業などのお金に関わる問題が突然起きても、お金や時間を無駄にせずに済むのです

最悪のシナリオを想定しながら、取捨選択をする

MVBのつくり方は簡単で、3つのステップで設定することができます。

ステップ1:キープ・カット・キャンセルする予算を決める

まずは、生活するために毎月必要な最小限のお金を計算します。

キープ

固定費のリストをつくります。固定費とは、家賃や住宅ローンなど、自分では変えられない、毎月同一金額の支出のこと。

また、新たな固定費が加わる可能性も考慮しましょう。たとえば、会社などの健康保険が使えなくなったとき、自分で加入し直す場合には金額がいくらになるのかもチェックします。

カット

完全にゼロにはできないが、「削減は可能な支出」のリストをつくって、節約できる金額を見積もりましょう。

たとえば、食費は25%ほど削れる余地がある、サーモスタット(温度調整を行なう部品)を調節するなどの方法で光熱費を下げられる可能性がある、など。

また、銀行や住宅ローン業者に相談すれば、返済金額の調整や一時停止ができる可能性も。その場合、少なくとも一時的だが、こうした返済は「キープ」から「カット」に移動させられます。

交渉がうまくいった場合とうまくいかなかった場合、2バージョンのMVBをつくっておくと良いでしょう。

キャンセル

どの支出が不要かを判断します。「実用最小限の予算」のキーワードは「最小限」。つまり、絶対に必要とはいえないサービスをすべて切り捨てます。

たとえば、似たような内容のサブスクを複数も契約していたり、何台ものスマホや車にお金を払っている人なら、1台で十分かもしれません。

ポイントは、毎月の支出をひとつひとつ検討し、それなしで生活できるかを吟味すること。もし生活に必須でないのなら、「キャンセル」のリストに加えましょう。

お金の問題が起きたときに、キープ・カット・キャンセルする予算が整理できたら、残った予算の合計を算出します。その金額が、毎月を乗り切るために必要なMVBです。

もちろん、これは大まかな見積もり額にすぎませんが、判断の基準として活用できます。

ステップ2:貯金の目標額を設定する

これで、毎月を乗り切るのに必要な金額がわかりました。

MVBを組むときに大切なのは、最悪のシナリオ、つまり、収入ゼロを想定したシナリオからはじめることです。続くステップでは、非常時の資金額を、長期間の生活費をカバーするのに十分な額に設定します。

求職者が新しい仕事を見つけるまでには、平均で3〜6カ月かかると言われています。ですので、最低でも3カ月間の生活をまかなえるだけの額を、非常時の資金として用意しておくべきです。

仮にあなたの毎月の平均支出が50万円だったとして、キープ・カット・キャンセルの予算を検討した結果、支出を37万円まで下げられることがわかったとします。ということは、3カ月を乗り切るために必要な非常時資金の目標額は最低111万円で、6カ月を乗り切るには222万円。これだけあれば、時間に余裕を持って活動ができるということです。

MVBを組んでおくと、収入が途絶えたときに、どのぐらいの期間、生活していけるのかがすぐにわかります。さきほどの例でいうと、解雇されたときに預金口座の残高がわずか59万円であれば、約1カ月半後にはピンチを迎えるわけです。

こういった計画はあまり楽しいものではありませんが、万が一の状況に陥ってもお金の管理がしっかり把握できていれば、それに合わせて計画を立て、適切な行動にすぐ移ることができるのです。

ステップ3:副収入を整理する

これで、毎月の最低支出額を把握し、時間の余裕を生む貯蓄額の考え方もわかりました。次に着手すべきは、「状況を少しでも良くする方法について」です。

これは、正確にはMVBの一部ではありません。MVBとは、あくまでも最悪のシナリオ(収入ゼロ)に向けた予算だからです。

しかし、打てる手を知っておくことは、計画を立てる作業の一部でもあります。その1つが、「お金の危機的状況」が起きたときに備えて、家計の足しになる収入を控えめに見積もっておくこと。以下が該当します。

副業

副業をすれば、主な収入が途絶えた場合のリカバリー方法を計画しやすくなります。

これはMVBの一部ではありませんが、実際に収入が入ってくるようになったら、それに応じてMVBも調整しましょう。

解雇手当

解雇手当などの救済措置について調べておきましょう。解雇された場合、会社によっては、健康保険の継続や一時金の支払いからなるパッケージを提供してもらえるかもしません。その金額次第では、MVBも大きく変更することになります。

失業手当

失業手当の申請方法を事前に調べ、だいたいの支給額を把握しておきましょう。ただし、申請しても処理・支払いまでに時間がかかることがあります。その場合は、一時的にMVBをさらに下げる必要があるかもしれません。

お金の考え方が変わる、「資産と幸福感の関係」とは? | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2401-what-is-the-wealth-happiness-nexus/

家計管理に「毎月のリセット」が必要なワケ | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2401-monthly-money-reset/

長く続けられる家計管理のコツは、「自分の価値観」に基づいて予算を設定すること | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2402-how-to-make-a-values-based-budget/

Source: HealthCare.gov, FlexJobs, NerdWallet