大阪出身の4人組ロックバンド・ハンブレッダーズが3月24日、「大阪城ホール」(大阪市中央区)で『ハンブレッダーズ ワンマンライブ 放課後Jタイム 〜15th Special〜』を開催。念願の場所でのワンマンで、約1万人のファンがバンドの結成15周年を祝った。

■「ちょっとすごすぎますね…」メンバーもファンも驚き

2009年、高校1年生だった彼らが文化祭に出演するために結成し、2020年2月にメジャーデビューを果たした同バンド。青春を描いたエモーショナルな歌詞やエネルギッシュな熱いライブで、若い世代から絶大な支持を集めている。

バンド史上最大規模のライブは早々に完売し、会場には立ち見の観客も。開演前からSNSにはバンドや楽曲との思い出を綴る人や、「スカスカのライブハウスのときに行ってたから、なんだか不思議な感じ。泣ける」「本当に城ホールに立つんだハンブレ、すごいな・・・」など、会場の大きさを実感し感慨深いといった声もあがっていた。

開演の夕方5時半、ハンブレッダーズの4人が観客から拍手で迎えられると、ムツムロアキラ(Vo&Gt)が「大阪のバンド、ハンブレッダーズです。あの日、少年漫画の主人公みたいになれなかった俺たちが、いま大阪城ホールに立っています!」と叫んで、1曲目は『逃飛行』でスタート。『ギター』『ユースレスマシン』と続くと、観客は拳を上げて一緒に歌いながら早くも一体となった。

MCではメンバーが会場を見渡し、「ちょっとすごすぎますね・・・」「現実のものとは思えない」と、まだ実感が湧いていない様子。ムツムロが「みんなの好きなギターリフが、大阪城ホールで鳴るところを楽しんで帰ってください」と呼びかけ、『スクールマジシャンガール』『ユアペース』『才能』を続けて披露。でらし(Ba&Cho)、ukicaster(Gt)はステージを端から端まで使って盛り上げた。

その後、ムツムロの人生初バイトが「大阪城ホール」でのライブの設営スタッフだったことや、木島(Dr)が好きなスピッツのイベントで訪れたときのエピソードなど、会場の思い出を振りかえる場面も。『DANCING IN THE ROOM』ではミラーボールが回って歓声が起こり、『STILL DREAMING』『プロポーズ』でさらに会場のテンションは上がっていく。

この日、炎の特効や銀テープの発射などアリーナならではの演出がありながらも、MCでは「今日、一番近くから来たって自信ある人?」と呼びかけ、ライブハウスのように観客とコミュニケーションを取る、彼ららしい光景も。

中盤はムツムロの地元・吹田について歌った『都会に憧れて』や『アイラブユー』、「DJ KIJIMA」によるドラムソロを挟みながら『ワールドイズマイン』『起きろ!』『COLORS』と、アニメのエンディングソングとして人気の楽曲などをパフォーマンスした。

■「70歳くらいまでバンドを続けたい」

途中、ムツムロが「ミュージシャンという変わった仕事をしてるんですけど、落ち込んじゃう日もダメな日もあって、でもこんな仕事していて良かったって思うこともある。昔俺らが作った音楽が誰かの日常のなかで鳴って、ちょっとでもその人の気持ちが上向きになればいいなって。俺らの音楽が誰かに届いていればいいなって思いながら東京で暮らしています。この仕事をやれて誇りに思っています」と話し、観客から拍手が起こるなか『東京』を思い入れたっぷりに熱唱した。

その後、客席に向けて「吉野、お前のせいで俺の人生とんでもないことになっています。お前がはじめたハンブレッダーズ、こんなことになってるよ今」と結成時の元メンバーに語りかけ、『銀河高速』を披露。観客は全力で歌い、なかには涙しながら拳を突き上げる人も。

会場が感動に包まれるなか、ムツムロとは小学校からの仲だという木島は、「目標とかあるわけでもなく、なんの気なしに(ハンブレッダーズに)入って、そのまま続いて。でもその頃に『何かが起こるかも』ってちょこっと思っていた」と振りかえり、「70歳くらいまでバンドを続けたいですね」と今後について語った。

そして「遊び半分だったんですけど取り返しがつかなくなっちゃいました」と言って『ビートアディクション』を、「ヘッドホンをしてくれたら、数分間だけ君を主人公にしてやれる」と『DAY DREAM BEAT』を、「この城ホールの景色、ずっと探してた!」と『見開きページ』を披露。

デビューと同時にコロナ禍に突入し、長い間「声出し」が制限されていた彼ら。15周年を祝い、バンドと1万人の観客がともに合唱する様は「これぞハンブレッダーズのライブ」という多幸感と熱狂に満ちた光景だった。

ムツムロが「俺は中学の頃友だちがいなくて毎日が楽しくない時期もあったんですけど、高校でバンドを組んで友だちができて。今は曲を作るたびに、聴いて欲しいなって友だちがいっぱいいるんですよ。本当に幸せな人生にしてもらってる。本当にありがとう」と感謝を伝え、「俺たちはライブハウスから来たバンドなので、これからもライブハウスに遊びにきてください!」と、背景に全国のライブハウスの写真が流れるなか、コロナ禍にリリースした楽曲『ライブハウスで会おうぜ』を熱唱し、ステージをあとにした。

■ 日本武道館ワンマン決定の知らせに1万人が沸く

観客からのアンコールを受け、サブステージに登場した4人。ムツムロは「サブステージに向かう通路を歩いたときに(観客から)めっちゃ手が伸びてきて、売れたなと思いました(笑)、さすがに」と笑いながらも、「もう終わっちゃうね」「この半年、このことばっか考えてたから」と感無量の様子。でらしは緊張で前日眠れなかったそうだが、「やってみたら楽しくて。みなさんのおかげです」と、360度囲まれたステージで1人1人のファンの顔を見ながら伝えていた。

アンコールでは、アコースティックで『ファイナルボーイフレンド』、「19歳のときから歌ってる曲を」と『口笛を吹くように』を思い入れたっぷりに演奏。その後、映像が流れ、10月9日の「日本武道館ワンマン決定」が明かされると、会場には割れんばかりの歓声が上がった。

最後にムツムロが「バンドは続いていくので、15周年と言わず、立てなくなるまでバンドをやれたら、こんなに幸せなことはないです」と決意を新たにし、2月21日に発売された4thアルバム『はじめから自由だった』から、「これから俺たちの代表曲になる」と『グー』を披露。約2時間15分にわたってファンと作りあげた初の「大阪城ホール」ワンマンライブは幕を閉じた。

今後も15周年イヤーとして精力的に活動していくハンブレッダーズ。4月5日からは4thアルバムをひっさげ全国12カ所のライブハウスをまわる『はじめから自由だったワンマンツアー』を開催する。

関西では5月30日・31日に「Zepp Osaka Bayside」(大阪市此花区)にて。料金は4800円(ドリンク代別)で各プレイガイドで発売中。

【セットリスト】
01.逃飛行
02.ギター
03.ユースレスマシン
04.スクールマジシャンガール
05.ユアペース
06.才能
07.DANCING IN THE ROOM
08.STILL DREAMING
09.プロポーズ
10.都会に憧れて
11.アイラブユー
12.ワールドイズマイン
13.起きろ!
14.COLORS
15.東京
16.銀河高速
17.ビートアディクション
18.DAY DREAM BEAT
19.見開きページ
20.ライブハウスで会おうぜ

EN1.ファイナルボーイフレンド
EN2.口笛を吹くように
EN3.グー